檸檬空 | ナノ


黄瀬が「オレが全国制覇してあげるっスよ」と言った瞬間、周りの空気が一気に止まってしまったような気がした。


(乗り越えたつもりになっていた、だけだったんだ…)


頭が重くて、グラグラする。目の前の黄瀬がゆらゆらして見える。変な汗もかいてきた。怖い。


そんなあたしの反応に困った顔をした黄瀬に慌ててありがとうと言ったが、その場の答えとして間違えてる感じはあった。もう少し、あたしたちなら、ふざけられたはず。


でも、今のあたしにそんな余裕は無くて、その場は適当にごまかした。そのとき、ちょうど黄瀬が笠松先輩に呼ばれたので、ほっとした。


もう、大丈夫だと思っていたのに。黄瀬はそんなやつじゃないと思えるのに。


それでも、心の奥の奥で"あのこと"がひっかかっていて。


もしかしたら、やっぱりあたしは黄瀬を一生信用出来ないのかも知れない。そう思ってしまった。



そんな気持ちが伝わったのか、それから黄瀬とギクシャクしだして、結局、1年の正式な入部の日まで、まともに話さずにその日を迎えた。





「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -