檸檬空 | ナノ

部活のメニューが終わって、先輩たちが自主練で使う以外の道具をしまっていると、みょうじが手伝うよ、と言って寄ってきた。手伝ってもらうついでに、部活中、ずっと気になっていたことをきいてみる。


「そう言えば、みょうじって森山サンとどーゆー関係なんスか?」
「え、あー、イトコだよ。あの、無理やりあたしをバスケ部に入れたのが、森山先輩」
「あ、そーなんスか。え、イトコにしては仲良いっスよね」
「そーかな?昔から一緒にいるから、これが普通だと思ってた」


至極簡単な答えに納得するも、モヤモヤは少し晴れただけで、スッキリはしない。なんだろう。森山センパイが羨ましい…?

こんなに長い間いて、好意を示してくれない女の子はみょうじが初めてだった。


「えー、でもやっぱ仲良いっスよ」

「そっかー、そーゆーもんなんか」

みょうじはちょっと悩んで、


「気にした方がいい?」
「え?」
「必要以上に先輩と仲良くしない方がいいかな?」
「いや?別にイトコならいいと思うっス」
「そっか。なんか今、部活のこと相談できんの、黄瀬くらいだからさー。ありがとね」
「これくらい、いいっスよ」


仲良くないと思ってたのに、相談されたことが嬉しくて、妙にテンションが上がる。

だから、あんなこと言ってしまったんだろう。


「あ、森山センパイから聞いたんスけど、みょうじの入部理由って、"全国制覇のサポート"ってことになってんスよね?」
「うん、そーだけど?」
「オレ、良いこと思い付いたっス!」
「え?」
「部活は違うっスけど、オレが全国制覇のサポートの手伝いをするっス!つまり、オレが全国制覇してあげるっスよ!」


そんなオレの台詞にみょうじは


「えっ……、っ……。…あ、ありがとう…」


驚いてものすごく戸惑ったあと、しばらく悩んで、慌ててありがとうと呟いた。冗談とか演技じゃない、切羽詰まった印象を受けた。もしかしたら、調子に乗ってたのかも知れない。でも、まさか、そんな反応だとは思わなかった。「調子に乗るな」と罵倒されるかなとは思っても、そんなに困るとは考えもしなかった。

なんだかんだ喜んでくれると思ったのに、せっかく少し近付いた2人の間に、すきま風が吹いた、そんな気さえもした。





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