ごちゃごちゃごちゃ | ナノ
※長いのの予定だったものの第１話。
秀徳高校バスケ部にも新入生が入り、新入生の自己紹介の後、在校生も自己紹介を一通り行うことになった。あたしはこの時間が本当に嫌いだった。あがり症ってのもあるけど、最大の理由は名前だ。自分の番になり、一歩前に出て、深呼吸。言わなきゃ、終わらない。
「マネージャー3年の黄瀬なまえです」
ざわつく新入生の反応は予想済みだが、やっぱいい気分ではない。期待を裏切るようですが、と続ける。
「黄瀬、と聞いてキセキの黄瀬涼太の姉かとよくきかれますが、全くの無関係です。よろしくお願いします」
なんだー、とか溜め息が聴こえる。色めきだったマネージャー志望の子たちからは特に。ごめんね、“そういうことにしてる”んだ。
まぁ、でもこれでこの件については大丈夫、そう思い自分の列に戻って他の人の自己紹介を聞いていると、新入生の中に怪訝そうな顔を見つける。やばい。“嘘”がバレる。
自己紹介の時間が終わって、新入生は解散と言う事で、帰ろうとする人波をくぐり、目的の人物を呼ぶ。
「緑間っちくん！」
「黄瀬の…」
「お願いがあるの！」
なんですか、と言いつつ、なんとなく察しているとは思うけど、
「あたしが黄瀬涼太の姉だってこと、秘密にして！」
そう、私、黄瀬なまえは黄瀬涼太の正真正銘実の姉です。