次の日の朝、
「清志ーっ!朝だよー!」
「…うるさい」
「ほらー、おーきーてーよーう」
「…うん」
「(ボソッ)今日から仮入部」
ガバッ
「はい、おはよう」
「…おう」
清志ん家に勝手に入って朝ごはんとお弁当を作ったが、清志が起きてくる気配がなかったので、勝手に部屋に入る。
清志は相変わらずなかなか起きてくれなかったけど、そこで魔法の呪文、キョウカラ・バスケ・ヤレルーヨを唱えたら一発だった。
「ほら、顔洗って着替えて。朝ごはん出来てるよ」
「…あぁ」
とりあえず、ベッドから引っ張り出して、顔を洗いに行かせる。そこで改めて部屋を見渡すと…
「なんか、悪化してない?」
清志は何を隠そう、所謂アイドルオタク、通称ドルオタなのだが、昔はもっと控えめだったはずだ。
こんな、壁一面ポスターが貼ってはいなかった。
本棚にはバスケ雑誌と並んで芸能雑誌と、どう考えても同じタイトルが3つずつはあるCD。
本棚の脇に見つけた「CD」とだけ書かれたでかい段ボールの中身は最早聞くまい。
げ、うちわとかまである。
ぶっちゃけ、あたしはアイドルとか興味ないから、ここまで入れ込む気持ちがイマイチわからん。
「何キョロキョロしてんだよ」
「清志ー、普通のCDとかも聴きなよー」
「普通って何?」
「バスケットボールベアーとかー」
「それ、お前の趣味だろ」
しかも、結構マイナーだし。とか言いやがる。
「今度貸すから聴きなよ!」
「はいはい」
「あ、清志、寝癖やばいよ」
「どこ?」
「もっと右、あ、そこじゃなくて」
手を伸ばして直そうとするが、身長が高過ぎて届かない。
「ちょっとしゃがんで!」
「ん、」
「ここだよ、ここ」
ふわ、と清志の頭を撫で付ける。
なんで、男の癖にこんな髪の毛サラサラしてんだ。心なしかいい匂いもする…
「まだ直んねーの?」
「あ、直りました」
「おう」
よし、じゃあ
「ご飯食べて学校行こう!」
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