部活後、部室にて。
「ねぇねぇ、荒北ー」
「んーだよ」
「友達にさー、自転車部の中で誰と仲良いの?ってきかれたんだよねー」
「へー」
「だからさ、荒北かなー?って言ったのね」
「ふぅん…」
「…何にやにやしてんの?」
「にやにやなんてしてねーヨ!…で、それで?」
「あ、それでね、ほんとひどいんだよ!なんで荒北?せっかく箱根学園の自転車競技部なのにって」
「…あぁ?ソレ、どーゆー意味だよ」
「いやだから、他にもっとイケメンがいるのに、よりによって荒北?みたいな」
「……、」
「まーね、確かに荒北はイケメンではないよね」
「は?おめぇみてーなブスに言われたくねーし」
「ちょ!荒北のことブスとは言ってないじゃん!」
「るっせ!おめぇがブスなのは変わんねーダロ!」
「はぁー?さすがに酷くない?」
「おい、どうした」
「福ちゃん!」
「福ちゃん!あ、荒北が福ちゃん言うから移っちゃった。ごめん福富」
「それは構わんが、何で揉めていたんだ?」
「あのね!荒北があたしのことブスってうるさい!」
「ホントのことじゃねぇーか!ブス!」
「荒北にだけは言われたくないですー」
「あぁん?」
「おい、2人とも落ち着け」
「どうした、騒々しいな」
「東堂、」
「ねー!東堂も荒北になんか言ってやってよ!荒北が人のことブスってー!酷くない?」
「それは酷いな」
「ほらー!…ね?荒北だけには言われたくないよね?」
「だけにはってなんだよ!」
「でもな、みょうじ。荒北はこれでも意外とモテるのだぞ」
「げ、それまじ?」
「これでもとか意外とか余計だっつーの!」
「まぁ、オレほどではないがな」
「いや、それは別にまじでどうでもいいけど」
「ど、どうでもいいはないだろう?」
「でもなんで荒北モテるの?口うるさいし、イケメンじゃないのに…」
「ステータスにつられてるんじゃねぇ?」
「あ、新開」
「ほら、箱学の自転車競技部レギュラーっていえば、結構なステータスにだろ?」
「えー!そうゆうこと?荒北!ずるいよ!」
「ずりぃとかねぇだろ?モテるのもレギュラーなのも実力だよ、じ・つ・りょ・く!」
「ステータスにすがるなんて見損なったぞ!」
「つか、そんなこと言えばここにいる奴ら全員レギュラーじゃねぇかよ!」
「あ、あの、お2人とも喧嘩は良くないで…」
「泉田は黙ってて!」「泉田は黙ってろ!」
「アブゥ…」
「…泉田、パワーバー食う?」
「いただきます…」
「あれ?みなさんお揃いで。何かあったんですか?」
「真波ー!」
「おっと、みょうじさん?」
「荒北がさー、あたしのことブスって言ってくるー」
「え?そうなんですか?でも、荒北さん、みょうじさんのこと笑うと可愛いって言ってましたよ?」
「えっ?」
「真ァ波!それ言うなつったろ!」
「なんだ、真波。ネタばらしには早いぞ」
「靖友に言わせたかったのになぁ」
「え?みんなも知ってたの?」
「知ってたも何も、割とよく言ってる」
「ちょっと福ちゃん!」
「福富が言うあたりガチっぽい…!」
「ガチじゃねぇよ!バァーカ!」
「へー…」
「うっぜ!笑ってんじゃねーよ!」
「もう荒北が何言っても照れ隠しにしか聴こえないよー!ふはははー」
「ちっ、勝手に言ってろ」
「まったく。荒北とみょうじはいつも喧嘩しおって」
「喧嘩するほど仲が良いってやつですよね!」
「…お前ら、あんまりからかってやるなよ」
「それは難しいなぁ」
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