vs変態 | ナノ
5時間目の授業が始まる前の休み時間。あたしは4時間目の体育の終わりに配られた紙を前に頭を抱えていた。今年もこの季節が来た。


「うーん、どーしよーかなー」

「なに悩んでんの?」

「あ、宮地。これこれ」


その様子を見て、隣の席の宮地が話しかけてきたので、例の紙を見せる。


「男子も体育の選択の紙配られた?」

「あー、それか」


選択する方に丸つけて、来週回収するってやつだろ?と、宮地も机から紙を出して見せる。そうそう。それそれ。


「男子は選択何と何?」

「器械体操と水泳」

「あー、女子と一緒だ」

「で、どっちにするか悩んでんの?」

「そー。器械ニガテなんだよねー。この時期の体育館やたら蒸し暑いし」

「じゃあ水泳で良くね?」

「でも水泳は水着になるじゃん。うちの学校プールは一つしかないから、男子と一緒だし」

「見せとけよ」


見せられるようなものが無いから悩んでんだっつーの。


「あ、宮地はどっちにするの?」

「水泳」

「…あー」

「なんだよ、あーって」

「どうせ女子の水着姿見れるからとかでしょ?」


そうだ。普通に過ごしていると忘れがちだが、こいつは変態なんだ。

…しかし、宮地の反応はあたしの予想とは違って。


「名字、お前馬鹿か?」

「え?違うの?」

「そんな理由で俺が着替えとかめんどくせえ水泳をわざわざ選ぶかよ」


え…?…まさか、宮地、脱・変態…?!


「別に女子の水着は体育じゃなくても観れるだろ?」

「ちょっと待って」


そうだね。変態じゃない宮地は宮地じゃないよね。ごめん。あたしが悪かった。

でも、まだ水泳を選んだ理由が変態だとは限らない。他に理由があるとしても、これ以上変態な理由なんて思い付かないし。きっと、バスケに役立つとか、そんな理由があるんだ…!


「その発言もなんか怖いけど…。じゃあ本当の理由は何?」


「体育の水泳ならなー、合法的に俺の半裸を女子に見せられるんだぞ?こんな貴重な機会を逃す方が馬鹿だろ」



ひゃー!こいつぁ筋金入りの変態さんやぁ!
そんな発想、思いつきもしないわー!露出狂の気もあるのか…。だいたい、なんだよ合法的って。非合法的に見せようとしたことでもあるのかよ!怖いよ。さすが宮地。さすが変態。


「そんな場面、想像しただけで胸が…いや、股間が熱い」

「いーよ、わざわざ言い直さなくて。余計酷いよ」


でも、宮地にこの話をしてよかった…。


「宮地、ありがとう。あたし、どっちにするか決めた」

「…そうか」

「うん。器械体操にする」


今の流れで器械かよ!と宮地は憤慨しているが、逆に今の流れで水泳にする人なんて宮地くらいだよ!変態!




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