log | ナノ 「ふあーっ!やっぱ少女漫画っていいなー。キュンキュンするー!」


って、あ、違う。間違えた。何普通に漫画読んでんだ。

自分の部屋のベッドの上でゴロゴロしながら読んでいた漫画を閉じる。

明日、花宮の誕生日だから、何かの(何のかわかんないけど)ヒントになればと思って、資料探ししてたんじゃんか。

てか、ダメだ。やっぱりわかんない。少女漫画が大好きで、少女漫画はどんな恋のどんな時でもバイブルになると思っていたけれど、花宮が少女漫画のヒーローっぽくないもん。やーめた。

12時ピッタリに送ろうと思って、作っては消して作っては消してを繰り返したメールも、やっぱりやめよ。頑張ってデコった可愛いメールも、ワザと素っ気なくおめでとうだけのメールも、なんだか違う気がして。どんなメール送っても花宮はうぜぇとか言って一蹴しそう。

明日、会ったときに、おめでとうって言えばいっかなー。


なんだか、思っていたより、恋って難しい。


漫画を読んだら眠くなってきたから、そのままふとんを被って寝てしまった。



「おはよー!花宮ー」
「チッ」
「え、会った瞬間舌打ちとか何」
「なんでもねぇよ」


学校の玄関で、タイミング良く花宮とあったけど。なんなんだ、今日はお誕生日なのに、なんて機嫌が悪いんだ。すっかりおめでとうを言うチャンスを逃してしまって、何にも会話がないまま、教室へ着いてしまった。


「花宮くん、お誕生日おめでとう!」
「ありがとうございます」


教室に着いたらさっそく女の子たちに囲まれるお誕生日の花宮くん。あーあ、あの子たちよりも先にあたしが言いたかったのに。花宮の営業スマイルを見ていたら、なんだかどーでも良くなって溜め息をつきながら自分の席へ。後ろの席の原が、溜め息つくと幸せが逃げるぜ、なんて言ってくる。もうとっくに逃げられました。


「あ、みょうじ。お前、ちゃんと花宮に誕生日おめでとうって言った?」
「言ってないけど?」
「はぁ?」


何やってんだよ、とか言われても。


「だって、なんか朝から機嫌悪いし…」
「あ!お前もしかして、メールも送らなかった?」
「送ってないよ」
「まじかよー。俺が余計なこと言った感じじゃん」
「え?なんの話?」


原曰く。昨日、明日花宮の誕生日だなみたいな話になって。原が「みょうじは俺の誕生日の時に12時ピッタリにメール送ってきた」
って話をしたらしく。「だから花宮にもメールが来るはず」とか言ってしまい。それなのにあたしは。


「えー!だって原はどーでもいいから、テキトーにメール出来るんだもん!」
「花宮が機嫌悪いのそのせいじゃん!俺が後から色々言われる!」
「知らないよ、もー」


知らないよ、と言ったものの、内心ドキドキしていた。花宮、機嫌悪いの、あたしがメールしなかったからなの?もしかして、もしかするの?

とりあえず急いで花宮のところへ行って、「誕生日おめでとう!」と言ったら、案の定、


「遅えんだよ、バァカ」


と、言われてそっぽ向かれてしまったのだけど。その反応が何故か、あの営業スマイルよりよっぽど嬉しい反応な気がして。


なんだか、思っていたより、恋って楽しいかも!

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