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「え、笠まっつんってホモなブフォア?!」


部活後の帰り道、笠まっつんこと笠松幸男、我らが海常バスケ部主将が「女子は苦手だ…」なんて切実にボヤくから。思わずふざけてホモ疑惑を掛けたら、裏拳食らった。しかし、笠まっつんの裏拳虚しく、一緒に帰っていた女の子大好きな森山が「ホモが移ると悪いから」とか言って笠まっつんから離れるし、優しい紳士と言う名の天然小堀くんが「笠松、やっぱりそうだったのか…!」なんて本気で心配したりしていた。(てか小堀くん、やっぱりって…)


「みょうじ、てめえ…」
「まぁまあ、その拳を抑えて抑えて。ドウドウ」
「誰のせいだよ!」
「うおっ!」


笠まっつんは拳は抑えてくれたが、足が飛んできた。膝裏を蹴られて膝かっくんされたみたいにその場に沈む。あと、さっきから、あたしの叫び声全然可愛くないな。


「笠まっつんて、あたしの扱い酷いよね」


四つん這いの状態で呻くと、早く立てよ。とか言うくせに、先にズンズン歩いて行ってしまう。


「ほら、そういうとことか!」


慌てて立ち上がり、笠まっつんの背中を追いかける。


「女の子には、もっと優しくした方がいいよ」
「女の子ぉ?お前が?」
「鼻で笑わないでくれる?」


その様子に森山が、ふむ。と呟いた。


「でも、笠松の女の子苦手もだいぶ改善されたよな」
「みょうじと話すようになってからじゃないか?」


それに続ける小堀くん。良いところに気付いてくれました。


「笠まっつんはあたしに、もっと感謝してもいいと思うよ」


そう言いつつ、内心は複雑だった。


あたしは笠まっつんが好きだ。


最初は、マネージャーの業務連絡以外、全く話してくれなくて、嫌われてるのかと思った。だけど、女の子苦手だかららしいと聞いてから、話せるようにものすごく努力したのだ。毎日どーでもいい話題振ったり、森山や小堀くんから笠まっつんの好きなもの聞いて、それについて勉強したり。笠まっつんなんて誰も呼ばないあだ名つけたり。

その成果か、普通に話せるようになったけど。それで、あたしを通して女子と話したりするうちに、女子に対して耐性が出来て来たのか、昔よりずっと女子と普通に話せるようになってしまった笠まっつん。


あたしだけが、特別だと思っていたのに。


今日だって、そのせいで、女子に囲まれてキャイキャイされたから、冒頭のセリフなのだ。

あたしが話せるようにならなかったら、「みんなの笠松くん」にならなかったのかなぁ。なんて。


まぁでも、そうしたら、こんな風に一緒に帰ることも無かったんだけどね。


「別に俺は…」
「ホモだからいい…」
「森山ふざけんな!」
「冗談通じないな、笠松は。女の子にモテナイゾ☆」
「…きっとね、森山だけには言われたくないと思うよ、さすがの笠まっつんも」
「みょうじひでぇ!」
「俺もそう思う…」
「小堀まで…!」
「おまえらうるせー」


楽しければ楽しいほど、ときどきさみしくなって。どんどん欲張りになる自分がいる。話せるだけで、良かったのに。




君なしじゃ僕は

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