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「火神!黒子!」
「おー、みょうじ」
「今日の放課後暇?」
「今日はちょうと部活も休みで暇ですが…」
「ミセスドーナツ行こう!半額セール最終日だよ?」
みょうじの言葉に火神と黒子は顔見合わせ、
「それがよー昨日、バスケ部でもその話になってミセドに行ったんだけど…」
「人が大勢並んでた上に、既にほとんど売り切れで、並んでる途中で半額対象の商品は売り切れてしまったんですよ」
お誘いは嬉しいんですが、と続ける黒子たちに、みょうじはニヤっと笑いかける。
「待って、それ、駅前のミセドでしょ?」
「はい」
「もしかして」
みょうじの含みのある言い方に、2人の期待は膨らむ。
「実は!穴場なミセドがあるの!放課後行こう!」
「おう!」「はい!」
嬉しそうに返事をした2人をみて、みょうじもテンションが上がった。
「じゃーん。ここがあたしのよく行くミセド」
放課後、みょうじいわく穴場なミセドに着くと、みょうじはまるで自分の店かのように自慢気な顔、所謂ドヤ顔をしてみせる。
「おおー、半額セール最終日なのにあんまり並んでませんね」
「思ったより近いしな」
「じゃ、さっそく!」
そうして3人はミセドへ乗り込んでいった。
「いやー、半額だから調子のって5個も買っちゃった…って火神それ何個買ったの??」
ドーナツを買い、店内の適当な位置に座ると、火神も続いてテーブルに着く。そのプレートの上には、今にもこぼれ落ちそうなくらいドーナツが乗っていて、レジの店員の苦労が伺える。
「わかんねー」
「20個はありますね…」
「うわっ!黒子いたのか」
「はい。最初から」
恒例のやりとりをしてから、火神が言うには、
「…でもオレ甘いもの得意じゃないから少なめだぞ?」
「それ、甘いもの得意じゃない量じゃないから」
みょうじは甘党だと自負していたが、こんなには食べたられない。
「僕は甘いもの好きです」
「あー、よくマジバでバニラシェイク飲んでるもんな」
「へー」
そう主張する黒子のプレートを覗くと…
「…って!嘘でしょ!たった2個しか買ってないじゃん!」
半額じゃないときに、その量だったら納得出来る。これじゃあ何のために半額セールを狙って誘ったのかわからない。みょうじはそんな気持ちだった。
「せっかく半額なのにもったいねぇ…」
「半額の意味がないくらい買ってる火神くんには言われたくありません」
「それにしても黒子は食わなすぎだろ」
お互いに正論だか、2人とも度が過ぎているので、なぜかあべこべな感じがする。
「みょうじももう少し食べろよ」
いきなり自分の名前が出てびっくりしていると、火神が自分のプレートに乗っているドーナツを、いくつか黒子とみょうじのプレートにひょいひょい乗せていく。
「わ、これ以上無理だって」
「僕もそんなに食べられません」
火神は心底訳がわからないとでも言いたげに首を傾げた。
その様子がおかしくて、みょうじが思わず笑うと、黒子もつられて笑いだす。
「な、何笑ってんだよ」
「いやー、楽しいなって思って」
「僕も同感です」
ね、っと黒子とみょうじで顔を見合わせてから、笑顔を火神に見せると、
「まあな」
と火神も照れながら頷いた。
わかった!これが
"幸せ"ってやつだ
(なーんてね)
―――――
結構時事ネタ。
ドーナツ食べたい。