※性的表現がございます。閲覧は自己責任でお願いします。
いつからそうなったかはわからないが、敦は僕に従順だ。反抗などしたことがない。僕がやれといえば、簡単にするし、やめろといえば、すんなりとやめる。それは人間としてどうなのかとテツヤが言っていたが、僕が敦に向かって間違ったことをいうわけがないし、敦もいやいや従っているわけではないから問題はないだろう。
でも、今後悔している。ここまで従順とくれば、いっそ病気なんじゃないかって思えてくる。あぁ、優位にたっているはずなのに、こんな屈服された気分なんて初めてだ、くそっ。
「ふっ……んぁ…あ…」
自分の口から息と混じって声が漏れる。気色の悪いこの声はは口を閉じても、制御しきれない。敦は右手で僕の片膝だけをあげて、左の指を僕の中へ入れている。ぐちゃぐちゃとかきまぜられている感覚に頭がぐらぐらする。首や肩を舐めていた敦が耳元まで移動する。敦の息が耳に掛かる。熱い。その熱さが脳内まで上っていき、どろどろしている脳内は余計にとろとろと溶けていく。
「赤ちん、気持ちいい?」
ズチュズチュッグチュッ
ローションの水音と敦の声。卑猥なその音に耳を塞ぎたい。けれど、頭が真っ白になりそうな感覚に持って行かれてほしくなくて、自分の手はシーツを掴んで放せない。すると、敦の指が僕の中のある一箇所を擦る。びくんっと自分の肩が大げさなぐらいに揺れた。
「あっ…ひっ…!あつ…あつし…」
なに、これ。今までと違う。背中がびりびりした。僕の反応が変わったことに気づいた敦はそこを集中的に擦り出した。たえず、送り出される電流に握る手が強くなる。頭が真っ白になる。だめだ。やめてくれ。そこをずっとさすらないでくれ。僕がおかしくなってしまう。勝手に身体がびくびくする。頭がばかになる。何も考えられなくなる。喉がひきつる。声が我慢できない。でも、敦の手は止まらなくて、そこばかり刺激する。
「気持ちよくないの?」
敦が何か言っている。でも、理解できない。ただ喘ぐことしかできない僕に、敦の指が2本から3本に増えた。苦しくて、息がうまくできない。熱いのが目から溢れて流れる。体に絶えずびりびりって電流が走って、腰がびくびくして、何も考えられない。だめ。びくびくしてる。前をいじられてないのに。後ろだけいじられてるのに。僕のが出したいって。出したいってびくびくしてる。
「んあ…ああぁ!ああんっ…や…!はっ…やだぁ…あっ…だめ、あつし…!」
びりびりして、頭が真っ白になる。目を閉じて、そのまま真っ白の世界に身体を委ねようと思ったが、動きはいきなり止まる。
「あ、え……?」
なんで?急に終わった刺激にびっくりして、目を開けると、悲しそうな顔をした敦が目の前にいた。
「やっぱり気持ちよくなかった?」
指は中に入ったままなのに動かされることはない。刺激がほしくて、自分の中がきゅうきゅうと収縮してその指をしめつけるのがわかる。
「うぁ……そうじゃ、なくて……」
首を振りながら否定するが、敦の目は悲しげな目のままだ。
「でも、赤ちん、ダメって、やだって」
「あ……う…」
やめてほしいから言ったわけじゃない。気持ちよすぎて、頭がおかしくなりそうで。自然と口に出てしまったもので。でも、敦は僕が嫌がっているのだと思ったのだろう。僕の口から発せられた言葉はいつだって絶対なのだから。あぁ、なんて従順な男なんだろう、こいつは。今はそれがすごい厄介なものに思えた。
「俺、赤ちんを気持ちよくしたいの。だから、教えて」
こてんと首を傾げて、犬のような瞳で訴えてくる。敦のこの目は苦手だ。甘やかしたくなる。本当のことを言ってしまいたくなる。
「うぅ……」
うなる僕に敦は見つめる。わざとなんじゃないかと疑いたくなる。僕の口から言わせたいためだけに、中途半端にやめてるんだと感じてしまう。なんて意地の悪いやつだ。けれど、敦の瞳を見ると、それは払拭されてしまう。邪心が入ってない瞳に本気で僕を気持ちよくさせたいだけなんだと痛感する。あぁ、僕が正直になるしか手はないようだ。
「……さっきと同じところ」
顔から火が出そうだ。何で僕が自分からこんなことを言わなければならないのだ。僕は敦の目に耐えられなくなって顔を横に逸らす。視界のはしで敦が動いた気がした。
「……ここ?」
「ひぅっ!」
敦の指がいきなりその部分をぐっと押す。急激な刺激に身体が震える。
「ここがいいの?」
ぐりぐりっとそこを強く押される。一気に頭が真っ白になる。あまりの刺激の強さに声すら出せなくて、僕は必死に首を縦に振る。
「そっかー、よかったー。俺気持ちよくできてたんだよね?」
敦は笑顔で聞いてくるが、もちろんこちらに答えるほどの余裕なんかない。ぐりぐりと刺激を与えられるそこに頭がいっぱいいっぱいだ。さきほどよりも絶頂がくるスピードが速い。多分、一度焦らされたせいだろう。
「あっ、ああっ!…あっ、あっ!んあ…!!」
グチュグチュグチャ
水音が聞こえる。声が漏れる。大きくなる。女のような声。気持ちわるい。でも、気持ちいい。頭がまっしろになる。目の前がちかちかする。腰がびくびくする。出したい。出したい。
「赤ちんのちんこもびくびくしてるー、出したいのー?」
「うにゃっ!!」
いきなり敦の手が僕の自身を掴む。今まで触られてこなかったところへの刺激に身体が跳ねた。
「にゃって、赤ちんネコみたいー」
敦が笑った気がした。けれど、その楽しそうな声とは裏腹に、後ろの指はとまらないまま、違うほうの手の指先で鈴口を引っ掛かれる。
「あっ、そん、な……前まで…ひぅ…あっ、あっ、でちゃ…」
もう何がなんだかわからない。声がとまらない。前も後ろもぐちゃぐちゃにされて、頭がおかしくなる。ひっかかれたそこから我慢汁がだらだら流れて、出したい出したいってびくびくしてる。
「出したくないのー?」
前を弄ってた指がそれをやめ、根元を掴む。前の刺激がなくなったかわりに強い圧迫感を感じる。これじゃあ、出せない。なんで、なんで。僕のは出したくてびくびくしてるのに。なんで出させてくれないの?もしかして、また、僕が変なこといった?わからない。自分が何いったか覚えてない。覚えてないけど、きっと僕がまた何かを言ったんだ。出したい。出したい。出させて。お願い。気持ちよくさせて。いわなきゃ。そうじゃなきゃ、あつしは出させてくれない。気持ちよくさせてくれない。
「ひぁっ…あ、だめ、あん…出し、たい…出したいのぉ!あつし、いかせて…!」
「んー、りょーかい」
視界がぼやけて何も見えない。けれど、敦の顔が近づいてくる。あ、キスされる。そう思って目を閉じたら、案の定唇に柔らかい感触。心地いい感触に自然と自分の腕が敦の首にまわる。すると、それを見計らったように根元を掴んでいた敦の指の動きは再開された。
「んんん!!!……んはあああ!はげし…あっ、あつし…!あっ、ぁあ…あんっ…いっちゃ…!イッちゃう、出ちゃう!」
強すぎる快感に頭を横に振るが、ダメとかいやなどの言葉は決していえなかった。いったらまた焦らされる。また中途半端にされてしまう。それはいやだ。気持ちよくなりたい。イきたい。出したい。
「うん、イっていいよー、赤ちん」
先っぽをぐりっとされて、なかをぎゅっとつねられる。強すぎる快感に身体がびくってはねて、あたまのなかが真っ白になる。
「あああああああっ!!」
真っ白の世界に連れて行かれる感覚。熱いのが腹に落ちるのがわかる。腰がばかみたいにびくびくしてる。
「うわー、赤ちんのすごい出てる。気持ちよかった?」
敦が感嘆の声をあげる。そんな声でいわないでほしい。そんな言葉を吐かないでほしい。出したことによって、クリアになっていく頭にそれはよく響いた。恥ずかしくてしにたい。
「はぁ…はぁ…あぅ…」
いくら酸素をすっても足りない気分だ。全身で呼吸をしていると、目の前の敦がごそごそしている。あぁ、もう終わりだろうか。終わってほしい。疲れた。とんでもなく疲れた。もうこのまま寝てしまいたい。
「じゃあ、次は俺のねー。いいよね?」
…え?うそ、だろ…?
目だけを動かして敦を見ると、敦は僕の膝を腹につけるぐらいにもちあげる。やめてほしいと僕は首をよこにふる。けれど、敦はきょとんと首をかしげて、ゆるく立ち上がっている僕のを敦のたくましいもので擦り付ける。
「あぁう……!」
出したばかりで敏感になっているのに、擦り付けるなんて拷問だ。裏筋をつぅっとなぞられて、またしても快感で頭がくらくらしてくる。
「赤ちん?」
僕の許可を待っているくせに、それはもう拒否は認められなかった。ずるい。その目は僕に従順な犬のくせに、下は絶えず快感を与えてくる。僕を縛りつけようとしてる。僕を誘導している。でも、これ以上自身をいじられたら、僕がおかしくなる。
「いい、から。あっ、それ……やめ…」
その言葉を吐いた瞬間、敦はとびっきりの笑顔を見せた。
END