赤司母(♀赤)←紫←赤
従者ぱろっぽい。軽く死ネタ混じってる。
途中から会話文。
『敦、そこにいる?』
『いるよ、赤ちん。ここにずっといる』
ベッドからゆっくりと出てきた手を急いで取ると、恐ろしいほど白く、細く…あの頃の柔らかさなど何もない。まるで骨を握っているようだった。
『良かった…敦、私のお願いを聞いてくれないか?』
赤ちんはゆっくりとオレを見る。だけど、その瞳はほとんどオレを見ていない。虚空を見つめている。でも、オレは必死に赤ちんの瞳に入ろうと、顔を近づけて赤ちんと顔を合わせる。
『ん?赤ちんがお願い事なんて珍しいね』
『征十郎を…息子を守ってくれ…私に似てしまったばかりに、他人には簡単に心が開けない子だから』
『そうだね。社交的な旦那さまの血を継げば良かったのにね…見た目も性格も赤ちんに似ちゃったもんね…』
目蓋の裏で赤ちんの息子を思い出す。赤ちんに似た赤い髪、瞳、勝ち気な性格、甘え知らず…あげればあげるほどキリがない。それほど似ているのだ、その息子と赤ちんは。
『よくわかってるじゃないか…だから、きっと敦のことを気に入るだろう…いや、もう気に入っていたな』
『それだったら嬉しいなー』
『そうに決まっている。だって、私は敦が大好きだからな』
『……ずりーなぁ、赤ちん。そんなこと今さら言わないでよ』
『あと12年…いや、15年早くお前と出会っていたら…あぁ、そのときはまだ生まれたばかりか…』
『生まれたばっかでも、きっとオレは赤ちんを好きになる自信があるよ』
『無理だよ、敦。…ありがとう、こんな私を健気に想ってくれていて…どうか、征十郎と敦に幸せが訪れますように…』
『赤ちん…?うそだ…赤ちん…赤ちん!』
「母はあなたを愛していたんだろう?」
「そんなことねーよ。征ちんの旦那さまと赤ちんはずっとラブラブだったし。旦那さまが亡くなっても、赤ちんは旦那さまのことずっと好きだったよ」
「僕に嘘をつくなんて大したものだね、敦」
「嘘なんかじゃねーよ。ってぇか、オレと赤ちんの年齢差わかってる?30ぐらいあるんだけど…」
「そうか…じゃあ、この胸の痛みは血の繋がりのせいではないわけだ」
「…え」
「僕は君が好きなんだ。敦。たとえ、僕が男で敦が男であっても、母だけを見つめる君を見るなんてまっぴらごめんだよ」
「え…征ちん…どうして…」
「僕のものになってよ、敦。この体では欲情しにくいかもしれないが、体も心も全てあげる。僕を抱いてよ、敦…」
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トクン…トクン…
「敦、聞こえるか?」
「…うん、聞こえるよ」
トクン…トクン…
「ちゃんと動いているだろう?」
「うん…」
「僕は…人間だろう?」
「うん」
「僕は…ぼくは…」
「わかってるよ、赤ちん。どんだけすごくても、神様みたいでも、赤ちんは赤ちんだよ」
トクン…トクン…
「うん…うん…ありがとう、あつし…」
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