「大丈夫、もっと気持ちよくなれるよ?ほら、ローションも使ってないのに、オレと赤ちんの手入ってる」
「ふぅ…ん、ん…」
敦はそういうが、今回はローションではなく自身の分泌したものが潤滑剤のためか、お腹が苦しい。ゆっくりと広げるように動かされても、苦しいのは変わらなかった。少しでも楽にしようと必死に息を吐いていると、それに気づいたのか敦は額に口付けを降らせてきた。
「あ、あつし…」
髪の毛がくすぐったくて、ゆるく顔を振るが、敦はちゅっちゅっと口付けを降らせる。そんな敦がずるい、とおもった。強引に進めていっているのに、こうやって優しく慰めるようなキスをされると委ねてしまう。敦の好きにさせてもいいかと思ってしまう。
気が付くと、自然と力が抜けており、先ほどより後孔の息苦しさがなくなっていた。敦もそれに気が付いたのだろう。へらっと笑いながら、僕から顔を離す。
「赤ちん、アナニーのときはね、ここを触ってあげると気持ちいいよ」
「あああっ!!あ、なっ、なに、あっ…!」
僕の指がしこりのようなものに触れる。それに触れられた瞬間、刺さるような快感に身体が跳ねた。
なに、これ…
いつもと違う快感に頭がびりびりとする。
「いつもオレのを挿れたときに擦ってあげてる場所。気持ちいいでしょ?」
「やっ、やぁあっ…!あっ、これ、だめっ…!」
後孔を広げられるとき、たまにその部位を触られて気持ちよかった記憶があるが、集中的に擦られた記憶がない。繋がったときも同様だ。どちらとも、気持ちよすぎてしゃくりあげるように泣いてしまうので、いつも敦が擦るのをやめてくれるのだ。やめて、といっても、執拗に擦られた経験がなかった。そのせいか、常に強い快感が身体全体を襲い、抑えきれず身体がびくびく震えた。
「あつし、やめてぇ…!やだ!やだよぉ…!ぼく、これ、おかひ、く…ひっ…はっああああ!」
急な快感に涙が止まらない。また真っ白になってくる。息が上手くできなくて、必死に息を吸うけど、お腹がひくひく痙攣したように波打って、上手く息ができない。それに加え、ひっひっと息を吸うたび、後孔が指をきゅっきゅって締め付けて、自分のいやらしさにさらに涙が溢れた。気のせいか、擦りあげている部分がどんどん膨れ上がってきて、触りやすくなってる気がする。ぷっくりとしたしこりを敦の指と僕の指がこりこりって擦り上げるたびに、腰が勝手にへこへこと上下運動をして、後ろだけを弄られてるはずなのに射精を促しているようだった。
「あっ、はっ…も、もう、らめぇ…こりこり、やらぁ…」
頭がおかしくなるような痺れが全身を支配して、もう何が何だかわからない。腰が揺れ動いて、そのたびにとぷっと飛び跳ねた先走りが僕と敦の手をぬらした。熱いのがとろとろと流れて、それが後孔の滑りをよくしているのだとわかると、恥ずかしさとか気持ちよさで頭が爆発しそうになる。
「赤ちん、わかってて言ってるの?やだやだって言いながらさ、勝手に自分で指増やしてるよ?」
「ふえ…?あ、あ、そんな…ちが…」
必死に否定するが、さっきよりお腹がいっぱいのような苦しさを感じているし、締め付ける指が中指だけだったのが人差し指も締め付けていた。けれど、淫らな自分が信じられなくて、必死に首を横に振る。
「ふふっ、赤ちんの変態さん」
『イけよ。女王さまのフリした淫乱の変態さん』
「っっ!」
変態という言葉で、さきほどの自慰行為のときに想像した敦に言われたセリフを思い出してしまい、一気にぞわぞわと電流量が増える。そして、気づく。
そうか、僕はあのAVのようなことになっているのだ。縛られてもいないし、玩具でも攻められてない。SMとは違うのかもしれないけど、確かに敦は僕を貶めるような言葉を吐いて、僕を知らないところに連れて行こうとしている。そう気づくと、今までの行為は性質の悪い悪戯やからかいではなく、そういう『プレイ』だとわかり、一気に身体の熱が上昇した。
「あれ?もしかして赤ちん、変態っていわれてイっちゃうの?」
「ひっ、ちがっ、ひんっ!」
「そっかー。変態って言われるの好きなんだー」
「ちがう…ちがうからぁ…ひっ…ひっ…ひっ…いく…いっちゃ…」
「何が違うのさ、変態。ほら、変態さん。変態っていわれるたびに締め付けてるよ?嬉しいねー、いっぱい変態っていってもらえて。」
違うはずなのに。僕は変態じゃないはずなのに、敦の口から『変態』っていう言葉が出るたびに、身体が戦慄く。敦の口から僕を貶めるような言葉を吐くたびにせつなくなって、もっとほしくなって、敦と僕の指を締め付けた。
「あ、でもさ、イくのちょっと我慢してみようか?赤ちん早漏気味だから、あと3分は我慢しなよ。それぐらいだったら赤ちんでも我慢できるでしょ?一回出したし、余裕だよね。もし我慢できなかったらお仕置きね。あ、でも変態さんだったら、ご褒美になっちゃうかなー」
敦は流れるようにすらすらと残酷な言葉を吐きながら、僕の性器を強く握り、むちゃくちゃに扱き出した。後孔を弄られているうえに、前も弄られたら、僕の頭の中はスパークし、もう正常な思考をできない場所へと連れて行かれる。
「―――っっっ!あ゛!あああああ゛あ゛あっ!ああ…あ゛あっ!むり…むりぃ…ひんっ!」
目の前がチカチカする。もうきもちいのか、くるしいのか、やめてほしいのか、もっとやってほしいのか、何もわからない。けれど、これじゃあ我慢どころか、すぐにだしてしまうことだけはわかる。それがいやで、腰のおくにたまる熱をどうにかにがしたくて、宙をけったり、首をふったり、シーツをつかんだりするけれど、何もかわらない。きもちよくて、だしたくて、たまらない。
「ははっ、赤ちんの顔、今とってもやらしい。出したくて出したくてしょうがないって顔してる。カウパーもさ、ほらシーツ見てよ。あ、今の体勢じゃ見えにくいか。じゃあ、言ってあげる。お漏らししてるみたいにいっぱい染みつくちゃってる。もう水溜りできるんじゃないってぐらい。そのうえ、聞こえる?ジュッポジュッポだって。こんな音さ、ローションも使わずに出せるなんて普通じゃ無理だって。恥ずかしくないの?」
「あっ、あっ、あ゛っ、ん…ゆる、してぇ…もう、らめぇ・・・!」
「許して、じゃないよね?…ねぇ、そういうときどうすればいいかって赤ちんは知ってるんじゃないの?」
まるで、悪魔のささやきのように敦はゆっくりとぼくに聞く。手のうごきもさきほどよりゆるやかになって、ぼくは忙しなく息継ぎをしながら、ビクビクといまにも吐きだしそうなじぶんの性器を見た。
「あっ…はっ…う…んっんっ」
出したい…出したくて、しかたがない。ぐずぐずの快楽の海に落ちていってしまいたい。
けれど、いざくちを開こうとしたら、羞恥心がでてきてしまって、どうしても口をとじてしまう。ためらって、あえぐ声しか出てこなくなる。
「ほら、言いなよ。かしこくて、変態な赤ちんならそんぐらいわかってるでしょう?あ、それとも赤ちんはドライをご所望とか?」
そういいながら、敦は陰茎を扱いていた手で根元をつかむ。
「ひっ…ぐ…」
「オレはそっちでもいいよ。それだったら終わりがないから、何回でもイけるし、赤ちんいっぱい気持ちよくなれるし」
敦の意図がわかり、僕は首を横に振って、やめてくれと意思表示する。経験のないことだがわかる。男でも射精せずに達することができる方法。そんなことをされたら、本当におかしくなってしまう。今でさえ、達せなくて苦しいのだ。そんな中、根元を掴まれて、絶頂に追い上げられるなんて、壊れてしまうかもしれない。しかし、そんな僕の恐怖をお構いなしに、敦ははっと熱い息を吐き、後孔に挿れてある僕の手と一緒に再度動かし始めた。
「――――ひあああああっ!!!」
根元を縛られ、精液を出さなければ絶頂は迎えない、というわけは決してなく、非情に無慈悲に僕は絶頂へと押し上げられていく。目の前がちかちかとして何も見えない。腰が何度も突き上げるような生理運動をするが、ぐるぐると腰の奥の熱が渦巻いているだけで何も吐き出せなかった。出せない。くるしい。だしたい。だしたい。
「やだ…!やだぁ…あっ、あ、あつし…出したいよぉ…!ひっ、ん、ん…てぇ…はなしてぇ!あああ!」
こどものように泣きじゃくり、ねもとをつかんでいるあつしの手をはなそうとするが、ちからがまったくはいらない。そのあいだになんどか絶頂をむかえてしまい、身体がかってにびくびくふるえた。だけど、いっこうに熱はおさまらなくて、きもちよくてきもちよくてたまらないのに、こしだけが重たくてくるしい。
「ああああっ!も、もう、むりぃ…!おねがっ、おねがい、します…!あ゛…ぼくの…ぼくのやらしいおち、んちん、をい、いじめてくらしゃい…どらい、じゃなくてぇ…あ、はっ…また、イくぅ…!―――っっ!」
「―――ひっ、はっ、ひっ、ん、ん、どりゃいれ、イきたく、ないよぉ…あ、やらぁ…!あちゅ、あつしのてでいっぱいせーえき…せいえきびゅくびゅく…ってぇ…らしながら、イき、たっ…!…あ、ぁ、はぁ…」
むがむちゅうでさけんでいると、いつのまにかあつしのうごきはとまっていた。
「ぁっ…あつ、し…?」
ぜぇぜぇとひっしにいきをすって、あつしのかおをのぞこうとするが、そのまえにあつしがぼくをベッドの真ん中にほうりなげる。そのまま覆いかぶされて、おもいっきりキスをされた。
「ふっ…んん…あっ…ふ…」
「ほんと、オレのバカ。今まで我慢してた意味とかないじゃん。赤ちんって本当淫乱」
「へっ?…あっ!ん…ん…」
口付けのあいだになにかをいわれたが、それをりかいする前に、敦はぼくに口付けをおくりながら、性器をにぎる。そのしげきに身体が跳ね、ぼくはつい期待のまなざしであつしを見てしまった。
「あ、はぁ…あつし…」
「精液いっぱい出しながらイってね、赤ちん」
「っっんあああっ!やあっ、ん、んむ、はっ…!あひっ、あん、ふっ…ふはっ、あつし、これ、すぐイっちゃ…!」
こしがふるえる。やっとイけるよろこびとまだかすかに残っているしゅうちしんがせめぎあって、もうあたまがおかしくなりそうだ。
「あ、あ、あ、きもち、いい…あっ!」
こえがとまらない。ひとりでやってたときよりずっとずっときもちいい。もっとほしい。あつしにもっといじめてもらいたい。うえもしたももっともっとぐちゃぐちゃにしてほしい。
「あつし、あ、あ、はっ!あつし、あつし…イく、イく…イくぅっ!―――――っっ!!」
ぐっとこしがはねあがり、こしにたまっていたものがいっきにほうしゅつされるかんかくがひろがる。
「あっ、は…ひっ、くぅ、ん…」
いきをするたびにこしがふるえて、たまったものをはきだす。それがきもちよくて、もっともっととこしをつきあげてしまう。
「赤ちんすげーね。こんな乱れたの初めてじゃね?」
「ふ…んっ…」
すべてをはきだすと、倦怠感が全身を包み始める。もう、今日は動けないかもしれないと思っていると、あつしの手がぼくのあたまをなでた。そのかんかくが心地よくて、ネコみたいにその手にすりよる。
「じゃあ、次はもっと乱れてみよっか?」
「え?」
倦怠感で微睡んでいたが、敦の発言に目を丸くする。しかし、敦は気にすることなく、僕の頭をなでながら、綺麗に笑った。
「だって、3分我慢しろって言ったのに、全然我慢できてねーし。すっげー気持ちよくイっちゃたし。お仕置きしなくちゃいけねーじゃん」
「そ、んな…だって…」
何を言ったかはあまり覚えてないが、僕はちゃんとおねだりをしたつもりだ。それに、敦も達していいと言っていなかったか。それならば、仕置きはなしということになるのではないのか。それを含んだ目で敦を見上げるが、敦は意地悪そうな顔で返す。
「誰もおねだりしたらやめるなんて言ってないし」
り、理不尽だ…!
敦の言葉にショックを受けていると、敦はゆっくりと僕のシャツを脱がしにかかる。
「ちょ…!なにを…!」
「だいじょーぶ。痛いことはしないよ。気持ちいいことだけだから」
無邪気な笑顔でそういわれても、はい、そうですかと素直に頷けない。というか、気持ちいいことだけって…これ以上僕の身体を変にしないでくれ…!
( ゚д゚)アキタヨ・・