※大学同棲パロ
 前の「赤ちんとにゃんにゃんしよう」とは別物
 自慰描写あり、AV描写あり、喘ぎが下品
 何でも許せる方向け


















 敦は優しい。いつだってあの広い胸で僕を抱きしめて、どろどろに甘やかしてくれる。性行為のときだって、僕の体がつらくないように優しく抱いてくれるし、快感が強くておかしくなりそうなときは、大きな手で頭や背中を撫でて、何度だって僕の体中にキスの雨を降らせてくれた。バスケに関わっているときはまるで野生の獣のような獰猛性を発揮しているのに、僕の前では全くそれがない。大事だよ、優しくしたいって気持ちが真っ直ぐに流れ込んできて、僕は敦にとても愛されているんだっていつも思ってた。







<あんっ!らめぇ…!そこばっかりらめなのぉ…やあああああんっ!>


 でも、これはどういうことなのだろうか…

 目の前には、ロープで腕や足を縛られ、そのうえ目隠しをされた全裸の女性が画面に映っている。その女性は画面外から伸びた手に乳頭を弄られて、大きな喘ぎ声をあげながら体を震わせていた。

 そもそも、何故僕がこれを見ているのかというと、1時間ぐらい時間を遡らせなければいけない。
 僕と恋人であり,現在同棲中の敦は今大学の実験レポート期間で数日間大学に寝泊りしている。僕と敦は大学が違い、そんな忙しい身である敦とは対照的に僕はテストも終わり、家で1人暇を持て余しているという状態だった。明日がレポート提出なので、明日の昼には帰ってこられるらしいが、それまでは多分帰ってこれないといっていた。
 敦が帰ってこない最初の何日間は、これは幸いと今まで読みためていた書物や久しぶりの将棋を嗜んでいたのだが、やはり規則正しい生活の中、自由になる時間がありすぎた。とくに友人と約束事をしていなかった僕はすぐに暇となってしまった。いや、いくらでも読書や将棋で時間は潰せるし、家ですることがないのならば外に行けばいいのだが、なんとなく敦が寂しくなって帰ってくるんじゃないかと思ってしまい、どうしても家からは出られない。それに,休みの日は何をしていても隣には敦がいたので、その感覚が染み付いてしまった僕は読書をしていても、将棋をしていても、やはりどこか温もりを求めてしまっているらしい。ついつい、片手が何かを捜して、その動きに集中力が切れてしまい、続きを再開する気になれないのだ。
 そういうわけで、暇を持て余した僕は、せっかくだから敦の部屋の掃除でもしようかと思い至ったのが、始まりだ。いや、敦の部屋はいつも僕が掃除しているのだから、これには語弊があるのだが。今日は大掃除といってもおかしくないと思うぐらいに、時間をかけて掃除してみようかな、というのが正確な言い方だ。

 という流れで、始まった大掃除。普段から掃除を心がけている(敦には毎日食べたお菓子袋はゴミ箱にということを躾けている)おかげで、目立ったゴミはなかったが、やはりクローゼットの中や本が埋まっていない本棚の上には埃が積もっていた。
 そのときに見つけてしまったのが、1つのDVD。クローゼットの中の服にまぎれて置いてあった(隠してあったといってもおかしくないであろう)それは、パッケージから見ても明らかに一般用のDVDではないことがわかる。いってしまえば、AVだ。

 べつに、敦がAVを持っていることに怒りや悲しみをもっているわけではない。むしろ、健全な男性ならば誰だって持っている。僕だって1つや2つ持っている。女のように「私という彼女がいながら、何で持っているのよ!」などと戯言をいうつもりもない。
 僕がツッコみたいのはその内容だ。DVDのパッケージの写真は明らかにSMというジャンルに分けられるもので、その上タイトルが【ドMに成り下がった女王様】だ。裏に書かれていた内容も、いつもはサディスティックで女王様な彼女であろう女をロープで縛り、抵抗する彼女を無理やり犯していき、マゾヒズムに目覚めさせていくというものだった。
 それを見た瞬間、なんとも言いがたい申し訳なさや気まずさを覚えてしまった。これは…敦の性癖、というより願望、なのだろうか…。
 僕もどちらかというと、サディスティックと呼ばれている部類の人間だと思っている。そのうえ、帝光や洛山では女王様や将軍様のようだな、などと陰で言われたものだ。つまり、認めたくはないが、女役が僕にぴったりということだ。もし、その仮定が正しいのならば、男役が敦ということになり、敦はAVに自分たちの情事を重ね合わせながら見ていたと考えられる。

 いつもは「大丈夫?赤ちん…つらい?」「オレはだいじょーぶ。赤ちんが落ち着くまで待つよ」などと言っていたが、本音ではこのパッケージに載っている男のように乱暴に抱いてみたかったのだろうか…
 そこまで考えると、敦の本音が知りたくなってしまい、そのAVに興味が出てきてしまった。早々と掃除を終わらせ、寝室のDVDデッキにこれを入れたのが先刻だ。敦が帰ってくるのは明日。人様のものを勝手に見るなど良心が痛まないわけがない。最低なことをしていると自覚しているつもりだが、どうしても好奇心には勝てなかった。バレないように元に戻しておけば大丈夫だと最終的にはそう結論を下し、僕は再生ボタンを押した。




 しかし、僕は今すごく後悔している。




 何故僕は、見る前に男性役は敦で、女性役は僕、などと考えてしまったのだろうか…。あのときも今も僕の想像力が末恐ろしい…


<あーあ、べとべと。そんなに玩具で苛められるの気持ちいいのー?>


「っ…」


 おかげで、自然と男の声が敦の声に変換されてしまい、さきほどからぞわっと背中に電流が通り過ぎる。ありえない。敦はそんなこと言わない。と頭では否定しながらも、言ったことのない言葉で敦が僕にささやき、ゆっくりと焦らすように僕に触ってくると想像しただけで、またびりびりと細かな電流が背筋を通る。なぜか僕の口から洩れる息が熱い。
 しばらく、自分の身体の変化に戸惑いながらもAVを見ていると、息苦しさを感じた。
 ズボンが苦しい。そう感じる原因と結論はすぐに思いつく。しかし、僕は信じることがいやで、おそるおそるその原因である下半身に視線を移した。


「っ!」


 やはり、信じられずとも思っていたとおり、自分の性器が反応していた。ズボンの下で窮屈そうに芯をもって上を向き、軽くテントを張った状態となっている。それをまざまざと見せ付けられ、僕の頭は真っ白になる。
 僕のなかではこのAVにおいて女役は僕、男役は敦なのだ。敦の声で考えていたといえ、今までのセリフ、シチュエーションで僕は性的興奮を覚えてしまった、ということになる。
 そんなはずはない…。だって、僕は人の上に立つべき人間だ。このAVのように僕が縛られて、好き勝手に蹂躙される玩具のようにされて興奮を覚えるわけが…。

 心臓がばくばくとうるさい。僕の混乱をよそに、目の前のAVはどんどんと展開を進めて行く。


<クリちゃんもこんなに勃たせて、やらしいねー。触ってほしい?>


<はぁ…ん…さわって…>


<そんなんで触ってもらえると思ってんの?ほら、お願いするときは何ていうかいつも俺に言ってたよね?>


「はっ…う…」


 敦が乱暴な言葉で吐く。ありえない。ありなえないと否定すればするほど、頭が勝手に敦の声で再生されてしまう。僕の耳元でささやく。



『お願いします、僕のいやらしいおちんちんを虐めて射精させてください、でしょう?』



「っ……!」


 ぞくぅっと今までと比べないほどの電流が通っていった。敦が強要している。僕にいやらしい言葉を吐かせようとしているのだ。それだけで頭がぐちゃぐちゃとかき混ぜられている気分だ。
 もうAVのセリフなのか、自分が想像したセリフなのかわからない。けれど、これだけはわかる。僕は興奮してしまったのだ。このAVを見て、淫猥な想像をして、敦に抱いてほしいと思ってしまったのだ。
 そう気づいてしまうと、あとの行動は早かった。ベルトをはずして、前をくつろげると、勢いよく出てきた僕の性器。身体の熱はもう自我で抑えることは無理そうだった。
 敦はここにいない。いつもなら、欲情をすると(野生の鼻でも利くのか)敦がすぐにそういう雰囲気に持っていき、優しく抱いてくれる。そもそも、敦とキスをしたり、ベッドの上で戯れていたら、そういう雰囲気になってしまう可能性が高いから、僕から欲情することなんてほとんどない。そのため、同棲してから自分で処理をする機会がなかった。
 自慰が久しぶりのせいか、少し緊張する。すでに硬くなっている性器をおそるおそる右手で持つ。内心、自分が今誰かを攻める側ではなく、攻められる側で興奮を覚えていたことに恐怖を覚えていたが、欲には抗えなかった。怖々とゆっくり自身の陰茎をしゅっしゅっと扱きはじめる。けれどすぐに、それだけは足りなくなり、スピードをあげていった。


「ふっ…ん…あつし…」


 知らず、敦の名前を呼ぶ。敦の手がいつもの性行為でしてくれるように性器を扱いているのだと自然と想像する。


「あっ、あつし、あつし…ん、ん…」


『赤ちん、気持ちいいねー。カウパーだらだら出てるもんね。ほら、亀頭も虐めてあげるともっと気持ちいいよ』


「ひっ…う、んん…」


 違う。敦はこんな卑猥な言葉を吐かない。もっと優しくて、僕を包み込むような言葉を吐く。そんなことわかりきっているはずなのに、やめられない。敦が、こんなAVみたいに、いやらしい言葉を吐いて、あのバスケをしているときみたいな、あのギラギラとした、獰猛な目をしながら、僕の卑猥な姿を見ている。それを考えただけで、手が早くなる。心臓が、ドキドキする。息が、熱い。


「あっ、あっ、あつし…あつしぃ…」


 クチュクチュクチュグチュ…


 水音が徐々に大きくなっていっている。久しぶりの自慰で興奮しているのか、頭がパンクしそうだ。けれど、手は止まらない。右手でひたすら陰茎をさすり、左手の手のひらでぐりぐりと亀頭をかき回すように撫で擦る。きもちいい。気持ちよくて、たまらない。
 敦は僕の性器をこうやって撫でさすってくれる。敦のては大きいから、ぼくみたいにりょうてじゃなくて、かたてで亀頭も陰茎もぜんぶ可愛がってくれる。性器がどんどんせいちょうして、僕がイきそうになったらはやく出せとばかりに、鈴口をくりくりいじってくれる。


「―――――ぁっ!、はぁ…あっ!いく…で、ちゃ…」


『ふぅん。イくんだ?赤ちんって無理やり縛られて、ちんぽ弄られたら簡単にイっちゃう淫乱なんだ』


「あっ、はっ…ちがっ…!やっ、やっ」


 敦が僕のみみもとでささやく。ちがう、ちがうのに。ぼくは淫乱じゃない。あ、でも、だめ…あたま、まっしろになってきた。
 手がとまらない。どんどん、はやくなる。水おとと自分のあえぎ声がきもちわるい。けど、口をとじると苦しくなって、どうしても口をひらいてしまう。こえ、大きくなる。


「ああっ…あつし、ぼく、いっちゃ…イっちゃう…!」


『イけよ。女王さまのフリした淫乱の変態さん』


「あああっ、だめ…!んっ、んっ、ちが、のにぃ…だめぇ…っ!」


 ぼくの意思にはんして、ドピュッといきおいよく出てきたせいえきは僕の左手や下腹部に飛びちった。



 あ…あつい…


 でてきた熱に呆然としながらも、右手はすべてをしぼり切るようにゆっくりと強く擦る。



「あっ、ふっ…はぁ…」


 はふはふと熱い息を吐きながら、快感の余韻に浸る。自慰をするのは高校生以来だったが、そのときより乱れた上に、多く精液が出たのは、やはりあの時より敦との情事をリアルに描けるようになったせいだろうか…とどこか、冷静な自分の頭でそう考える。まさか、自慰をすると思っていなかったから、ティッシュも拭くものも何も近くにおいていない。立ち上がるのが面倒だな、って思いながら、ため息を吐いた。








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