※紫赤義兄弟年の差パロ
※赤司さん23歳、むっくん14歳
※紫→(←)赤
※紫→赤の呼び名「征ちん」












 「乾杯」
 「かんぱーい」


 カツンッと軽く鈍い音を立て、グラスは交わる。そんな2人の目の前には七面鳥などの豪華な料理の数々。2人分にしてみれば、多すぎる量のような気はするが、身長が2m以上もある敦がいれば、それらをぺろりと平らげるだろう。

 今日はクリスマス・イブ。普通ならば恋人と甘く過ごしたり、友人と馬鹿騒ぎするだろうその日に敦と征十郎は家で2人きりだった。2人の関係は兄弟であった。兄弟といっても義兄弟だが、この2人は普通の兄弟よりも仲がいいことで有名である。

 9年前の今日に2人は家族になった。どの兄弟よりも仲がよいと自他共に認める2人はこの日を大切にしている。毎年豪華な料理やケーキを並べ、2人でまったりと過ごしているのだ。ちなみにその2人の両親は毎年結婚記念日と称して、外国へ旅行をしている。本当に倦怠期もなく、何年もラブラブな夫婦だと征十郎は呆れ半分、感心半分の気持ちを抱いていた。
 そんないつまでも新婚気分なラブラブの両親に毎年放置されがちな子供たちであったが、こちらはこちらで楽しんでいるので、とくにそのことについて不満を抱いたことはない。というより、征十郎も敦もお互い血の繋がった親がいるより、互いがいればいいと思っているほど溺愛しあっている(重度のブラコンと周りが言っている)。そんな2人にとれば、むしろ誰にも邪魔されないこちらの方が万々歳なのである。


 乾杯し終わった2人は、それぞれグラスに口付ける。征十郎はグラスを少しだけ傾け、中に入っている年代物の白ワインを一口含みゆっくりと味わう。その間に敦はゴクリッゴクリッと、CM顔負けの音を喉で鳴らしながらシャンパンを一気飲みしていた。征十郎はそんな敦を見ると、自然と笑みがこぼれた。


 「征ちーん。どしたのー?」


 自分が笑われていることに気づいた敦は首をかしげながらいぶかしげに問いかける。そんな敦に征十郎は微笑みながら少しだけワインを飲み、ワイングラスを指先で小さく回した。


 「いいや、敦は変わらないなと思って」


 「えー、何それー」


 「敦は覚えてないかもしれないけど、お前とはじめてクリスマスを過ごしたときも、敦はシャンパンを一気に飲んでいたんだよ」


 征十郎は傾けたワイングラスに入っている白ワインからその映像を映し出す。あのときの敦も今と同じように征十郎の隣に座っていた。会話少なく始まったクリスマスパーティーは両親だけがしゃべり、征十郎も敦もほとんど2人の会話を聞くのみだった。征十郎の隣に座っていた敦は始まったとたん、プラスチック製のコップで少しずつだが黙々とシャンパンを飲んでいたのだ。今と変わらずゴクリッゴクリッとCM顔負けの音をならしながら。そして、飲み終わったあと、きらきらした笑顔を征十郎に向けながら、「これおいしいねー」と言ってきたのだ。はじめは敦に興味がなかった征十郎だったが、その笑顔にいとも簡単に心を射抜かれてしまい、出会って数時間というのに、征十郎はあのときから敦にメロメロになった。そして、黒子に飽きられるぐらいのブラコンっぷりを発揮することとなったのだ。
 敦のかわいい幼い姿を思い出した征十郎は、思わず小さく笑ってしまう。しかし、正反対に敦は頬を膨らませた。敦は征十郎の笑顔が好きだ。しかし、昔を思い出して笑っているのはいやだった。敦は自分と征十郎の歳の差を誰よりも気にしていた。


 「それって、俺がまだガキっぽいってことだよねー?」


 「ふふっ。ガキ、というより、かわいらしいってことだよ」


 征十郎の本音からいえば、子供なんてとんでもない。敦は妖精か天使だろう。と言ってしまいたいところだが、その言葉で敦がより膨れてしまうのは目に見えている。そんなところがより子供っぽく見えてしまうというのに気づかない敦は唇を尖らせた。



 「どっちでもいっしょじゃん、それ。俺やっと征ちんと同じ歳になったのにー」


 「…同じとし?」


 敦と征十郎は9歳も歳が離れている。2m越えの敦と平均身長より少しだけ高い征十郎の外見からはなかなかそのようには捉えにくいが、2人の間には確かにそれだけの壁が存在している。

 敦が“歳”といったのだから、年齢のことだと征十郎は瞬時には理解できた。しかし、“同じ”という言葉に疑問を覚えられずにはいられない。どれだけ時がたっても、身長とは違い、2人の間には9歳差というものは崩れない。なのに、敦は“同じ歳”だという。意味がわからない。思わずきょとんと目を瞬かせながら征十郎は首をかしげる。



 「はじめて征ちんと会ったとき、征ちん14歳だったでしょ?だから、今日でやっと征ちんに追いつけたと思ったのに」



 「ああ。そうか。敦はもう14歳か」



 敦の発言に征十郎はやっと合点がいく。2人が出会ったのは征十郎が14歳、敦が5歳のときだった。今年で敦が14歳ということは、たしかにあのときの自分と同じ歳になる。9年の歳月が流れているが、征十郎にとって敦はいつまでも甘えたで小さなかわいい弟なのだ。その事実は感慨深い。



 「大きくなったね、敦」



 思わず、隣にいる敦の頭をなでる。しかし、敦はいつものように喜ばず、さらに頬を膨らます。



 「征ちん、親父くさいよそれー」



 「そう思いたくもなるさ。そうだよね。敦はもともとから平均より大きな子だったけど、初めて会ったときはあんなに小さかったもんね」



 そういって、征十郎は出会ったときを思い出す。

 2人の出会いは征十郎の部屋だった。クリスマス・イブが終わり、クリスマスが始まる夜。そのとき、征十郎の父親は数年以上海外赴任をしていた。母親は幼い頃に病死しており、家には征十郎とお手伝いの人が1人いるだけだったが、征十郎は寂しいとは思わなかった。両親がいない生活に慣れきってしまっており、いまさらという気持ちが大きかったからだ。そして、父親がクリスマスの夜に帰ってくると知らせを聞いていた征十郎は、珍しいと思ったのが本音だった。母親がいた頃は、まだクリスマスや誕生日のときも父親は帰ってきていた。クリスマスの時などは赤いサンタクロースの格好をしていたのを征十郎は薄れかかった記憶であったが覚えている。しかし、母親が亡くなって以降、父親は母親を亡くした寂しさを埋めるためか仕事に没頭するようになった。クリスマスも誕生日も帰宅せず、仕事に追われる日々で、自然とパーティーなどは開かなくなった。したがって、息子である征十郎は放置されることが多くなった。しかし、それほど母親を愛していたのだと、子供心ながら理解していた征十郎はそんな父親に何も言わなかった。それに、パーティーは開かれずとも、誕生日プレゼントやクリスマスプレゼントは毎年郵送で贈ってくれていたので、自分の存在を忘れられていないという事実があるだけで征十郎は十分だった。そんな父親がいきなりクリスマスに帰ってくるというのだ。珍しい、と思うのは無理もない。
 クリスマス・イブ当日。未だに全戦全勝をし続けるバスケ部に属していた征十郎は、夕方遅くまで部活で汗を流していた。イブだろうが、聖夜だろうが、青春をバスケに捧げている少年たちには関係ない。ひたすら練習に励んでいた。部活が終わったあとは、部活で仲がよかった黒子と2人で帰り、肉まんとあんまんを買ったあと半分ずつに分け合って、すれ違う楽しそうなカップルたちを見ながら、男2人で何をやってるんだか、と笑いあい、帰宅した。それが征十郎のクリスマス・イブだった。結局、帰宅して床に入るまで、父親は帰ってこなかったのだ。夜といっていたので、夜は夜でも深夜に帰ってくるかもしれないと思った征十郎はとりあえず朝に挨拶だけをして部活に行こうと思い、就寝に至った。
 深夜、征十郎は床を何かで引きずる音に目を覚ました。何だと疑問に思ったが、すぐに思い出したのは、在りし日のサンタクロースの格好をした父親だった。中学生の息子に何をやっているんだと征十郎は苦笑を浮かべざるを得なかったが、征十郎は寝たフリをした。寂しくないと思っていても、やはり家族と過ごすものは格別であり、征十郎はわざわざそれを壊すなんて無粋なマネをしたくなかった。しかし、そんな征十郎の気持ちを裏切るかのように、ベッドの端まできた父親と思しき人物はいきなり布団の中に入ってきたのだ。まさか、ベッドに入ってくるとは思ってなかった征十郎はいきなりのことにパニックになった。父親だと思っていた人物は父親ではなく、変質者ではないかとパニックになった頭で考えた。征十郎の家のセキュリティは万全であると胸を張っていたが、そうじゃないのかもしれないと征十郎は悪寒が走る思いで目を開ける。そこまでで考え込んでいた征十郎だったが、決してその人物を蹴落としたりはしなかった。なぜなら、自分が寝たフリに気づいた父親がイタズラにそう仕掛けてきたのかもしれないという可能性を捨て切れなかったからだ。子供の頃、サンタの格好をしたり、ハロウィンのときは仮装をしていた人物だ。あの厳格な赤司家から出てきたとは思えないぐらいの茶目っ気を持っていた人物だったので、それは大いにありえた。しかし、目を開けると、またもやその願いは裏切られた。



 「あえ?」




 征十郎はこのとき以上の衝撃は一生来ないだろうと思っている。大きい靴下の形をした寝袋のようなものに入り、顔だけをのぞかせている紫色の髪を持った子供は、まさか征十郎が起きているのとは思っていなかったのだろう、眠そうに半分閉じられた目を懸命に開けながらも首をかしげて征十郎を見ていた。なぜここに子供がいるのだろうか、とか、その靴下に入っているということはこの子供がプレゼントなのだろうか、とか、そもそもこの子供は誰かなどの疑問が瞬時に浮かびあがったが、そんなことどうでもよかった。征十郎はその子供を抱えあげ、父親がいるであろう居間に、寝起きとは信じられない速度で向かった。全速力で向かった先にいたのは、父親とその子供の母親と思しき紫の髪を腰ぐらいの長さまで伸ばした女性だった。こんなクリスマスに父親と女性がいるということは、いくら黒子に箱入り息子と言われてきた征十郎でもわかる。そういう“こと”なのだろう。けれど、それとこれとは話が別だ。この子供はどういうことだと、説明しろと言う前に、父親はいい笑顔で、親指を立てながら言った。






 「プレゼントだ、征十郎!敦は今からお前の弟だ!!」









 「アホかあああああああ!!!!!!」









 深夜とは思えない、いや部活で主将をやっていてもそんな大声で叫ばない征十郎がツッコんでしまったのは、生涯初めてのことだった。















 あのとき、征十郎が抱えていた小さな子供は、いつのまにか逆に征十郎を抱えあげることができほど大きな子供になったのだ。親父くさく昔を懐かしんでしまうのは仕方ない。征十郎が微笑みながら、さらさらと流れる髪を梳いてやると、敦は頬を膨らませながらも身をゆだねる。



 「もー、征ちん。ずるい。そんなんされたら怒れない」



 「怒らないでよ。僕は敦の笑顔が見たいな」



 征十郎がとろんっとした甘い笑顔を見せると、敦は少しだけ頬を染める。年齢を重ねるごとに色気が増していくこの兄をどうしたらいいのだろうか、とこの頃の敦の悩みだ。



 「うー、もしかして酔ってる?」



 「酔ってないよ。まだ1杯しか飲んでいないのに」



 そういって、残ったワインをぐいっと飲み干す。さ、料理も食べなきゃ冷めちゃうよという征十郎に、敦は征十郎を気にしながらも料理に手を伸ばす。ここからは、ご飯を食べながら、毎年恒例の思い出トークだったり、最近の2人の様子を話し始める。


 敦は今、征十郎が通っていた帝光中学に行っている。もちろん、義兄の姿を見て育った敦はバスケ部に入部している。数々の伝説を残した征十郎の弟ということで、入学早々注目されていた敦だったが、さらに注目されることが起こった。敦は征十郎と血の繋がっていない兄弟であったが、その体格や反射神経からは征十郎に負けず劣らずのバスケセンスを持っていた。そして、その敦に対抗できる人物が、なんと3人も一気に現れたのである。そのため、周りは征十郎の時以来に、帝光の理念【百戦百勝】を達成することが可能ではないかと噂をし始めた。さらに、それを拍車かけたのが、バスケ部の顧問の存在である。かつて、征十郎とともに帝光の理念をかなえ、高校時代でははじめて征十郎を負かしたと云われている人物であり、帝光時代では征十郎の友人であり、高校時代では好敵手だった黒子テツヤだった。教育者として再び帝光に戻ってきた黒子が指導者ということで、周りの噂はさらに膨れ上がり、ついた名前が【キセキの世代】だ。しかし、周りの噂とは対照的に黒子のバスケスタイルは独特で、他人に技術を教えるのは難しかった。黒子の教育はどちらかというと精神面の教えが強く、指導をするというより、思春期で多感な少年たちを説くことが多い。もちろん、指導をあまりしないといっても、基礎は黒子も指示できる。成長期の体に極度の負担はかけずに、しかしバランスよく筋力をつける目的で帝光、誠凛に続く直伝の地獄メニューを組み合わせたものを黒子は指示していた。しかし、やはり個々のバスケスタイルを指導する人物がどうしても必要となってくる。そんな黒子の助っ人として現れたのが征十郎だ。征十郎も仕事があるので、頻繁に現れることはないが、時折顔を出し、技術的な指導に入る。

 そのため、征十郎は自然と敦の学校の様子はわかっているが、やはり敦の口から聞きたいものである。しかし、敦の口からは学校での生活の様子というより、お菓子や征十郎の話題しか上ってこない。征十郎が気になっていることはなかなか話題に上がらないのである。征十郎はおそるおそるといった様子で、敦にその話題を持ち上げてみる。



 「そういえば敦は、彼女とか、いないのか?」



 敦や【キセキの世代】と呼ばれているメンバー全員がモテているということを征十郎は知っている。現に自分のときでも何人かの女の子に交際を申し込まれた記憶がある。敦も両手で足りないぐらいの数の告白を受けているだろう。そんな征十郎の思考とは裏腹に、敦はまたしても頬を膨らませる。


 「何回も言ってるでしょー?今はそういうの興味ないのー」


 その答えに、征十郎は自分が安堵したのがわかった。なかなか弟離れができない自分に征十郎は苦笑を浮かべながら、うなずいた。



 「そうだな、まだ中学生だもんな」



 征十郎も中学生のとき何度か告白を受けたが、了承をしたことはなかった。たしかに多感な時期で、女の子に興味は持っていたが、バスケばかりに熱中している自分が彼女を作ったとしても、幸せにできないような気がしたからだ。不誠実な付き合い方をしたくなかった征十郎は、何度告白されても一度も首を縦に振らなかった。きっと敦もそうなのだろうと征十郎は勝手に思い込む。



 「でも、いつかはお前も彼女ができるんだな」



 征十郎が生きてきた24年間、決して一度も彼女ができたことがない、というわけでもなかった。数人ではあったが、征十郎は女性と付き合ったことがある。けれど、やはりバスケや弟ばかりにかまけていて、結果的に不誠実な付き合い方になってしまうのだ。それはもしかしたら身を焦がすような恋をしていないからかもしれないと征十郎は考え、少しだけ笑えた。自分が誰かに夢中になるなど、とてもじゃないが考えられなかった。

 けれど、敦は違うだろう。誰かと情熱的な恋をして、結婚をする。弟にかまいすぎる義兄のことなど鬱陶しいと思うかもしれない。そう思うと、少しだけ寂しかった。



 「クリスマスも一緒に過ごせないかもしれないんだね」



 今年は彼女と過ごすから、といわれたらどうしよう。と征十郎はまだ先の未来を考え、なきたくなった。征十郎はすでに2本目のワインボトルをあけており、酔いが回っていた。


 「そんなことねぇし。絶対毎年征ちんと過ごすもん」


 敦は不機嫌そうに言い返す。けれど、その言葉は征十郎にとってはとても嬉しいものだった。本当に兄思いのいい弟だ。



 「ふふっ。僕のときは泣いていたしね」



 そういいながら、征十郎は自身が大学生のときのことを思い出す。はじめて、彼女を作ったときだ。征十郎はそのときイブの夜は敦と過ごし、クリスマスは彼女と過ごそうかと考えていた。しかし、なぜか彼女の存在を義母にバレており、敦に「今年のイブは、征ちゃん彼女と過ごすかもしれないから、お母さんたちとイタリア行く?」と言っていたのだ。敦は征十郎に彼女がいるということは知っていたが、まさかイブに征十郎と過ごせないとは思っておらず、母の言葉にショックを受けた。そして、大学から帰ってきた征十郎に、大泣きしながら「征ちんがいなくちゃやだあああああ!!!」と悲痛に訴えたのである。



 「もう忘れてよ、それ。恥ずかしい」



 敦にとっては忘れたい思い出であった。征十郎の言葉を聞かず、行かないで、彼女と別れて、俺と一緒にいたくないの?など、まるで敦が征十郎の恋人のように言い募ったのだ。そのあとに、征十郎は優しい笑みを浮かべながら、「僕は敦が一番だよ。だから、イブはずっと一緒にいような」という言葉ですべて解決したのだが、敦にとったらそれは恥ずかしすぎる思い出となって残ってしまったのである。



 「なんで?嬉しかったよ。敦がすごく僕とのクリスマスを大事に思ってくれてたんだってわかって」



 あのときと同じような優しい笑みと言葉に敦は何もいえない。征十郎の言うとおり、敦はこのクリスマス・イブを大切に思っている。自分と征十郎が出会わせてくれた運命の日であるし、征十郎が自分を一番だと確かめさせてくれる日だからだ。



 ふと、征十郎は時計に視線を移す。時刻はもう明日を迎えそうな時間だった。



 「そろそろ寝なくちゃね。明日も朝早くから部活だろう?」



 「うん」



 そうして、クリスマス・イブに行われた2人のパーティーは例年通りにお開きになった。






































 クリスマス・イブが終わり、クリスマスが始まる。深夜。あの日と同じキンッとした寒さだった。あのときと違い、歩きにくくない。ずりずりとした音を出さない。音もなく、進むことができる。あのときのように、サプライズを企画した親はこの家にいない。本当に2人きりの世界。

 あの時と同じ。かわいらしく寝息をたてている人。自分の兄。覚えている。真っ赤な髪は燃えているようで、まるで灯火みたいだった。カーテンの間から差し込む月の光がキラキラと照らしている。きれいで、だけど冷たそうな雰囲気。あぁ、あたためなくちゃいけない。でも、布団に入ったら起きてしまうだろうか。



 「征ちん」



 呼ぶ。触る。起きない。

 靴下はそこにはなかった。けれど、プレゼントはいつだってここにある。変わらずにあり続ける。



 知ってる?サンタさんからのプレゼントは返品不可なんだよ。



 敦がプレゼントとして訪れた14歳の征十郎のクリスマス・イブ。成長したプレゼントである14歳の敦は一生離れない証として、征十郎の唇からプレゼントをいただいた。




END
(実は起きていた赤司さん)



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