※紫赤同棲設定
※性的表現あり
※玩具挿入/自慰が苦手な人は回れ右
以上の3点でも大丈夫だという方は、スクロールお願いします。












 今日は敦の誕生日だ。もちろん、僕に抜かりはなく、誕生日を迎えた瞬間に、彼にキスをぶちかましたあとにおめでとうと言って、枕の下に隠していたプレゼントも押し付けるようにして渡した。そんな僕の行動に敦はひどく驚いていたが、すぐに「こんなんなら毎日誕生日がいいかも〜」と締まらない笑顔で言ってきた。この僕がそんな毎日ご褒美をあげるわけがない。けれど、あんな本当に幸せというような笑顔で言われたら、キスぐらいなら毎日やってあげてもいいかもしれないと思ってしまう。本当に同棲してからというもの、もとより敦だけ格段に甘いといわれていた僕だったが、さらに磨きがかかってきたような気がする。そんな自分に呆れてしまうが、呆れるだけで、決して嫌いではない。僕はそう思い、苦笑に近い笑みを浮かべる。


 ふと、時間が気になり時計をちらりっと見る。もう夕食に近い時間で、今日の主役である敦が帰ってくるまで後1時間ほどだ。

 敦は今、元陽泉のバスケ部の人たちと誕生日パーティーの真っ最中だ。普通の恋人同士なら、誕生日は友達と過ごすより恋人を過ごすことをとるだろう。しかし、僕たちは違う。いや、“たち”ではないな。敦は最後まで誕生日パーティーを今日に開くことに反対をしていたのだから。敦も一般の恋人同士のように、1日僕と一緒に過ごしかったらしい。誕生日パーティーを開いてくれるのは嬉しいが、べつに当日ではなく、その次の日でも十分ではないかとずっと氷室さんに文句を言っていた。けれど、そんな敦の文句を氷室さんが優しく説き伏せ、今日も僕が無理矢理に行かせた。もちろん、僕だって1日中敦と一緒にいたかったし、ある目的がなければ、誕生日パーティーも明日に開いてくれたほうが良かった。けれど、今日開いてもらわないとダメなのだ。敦がいたら、できないのだから。


 「そろそろか…」



 僕はゆっくりとソファーから立ち上がり、寝室へと向かう。多分、誕生日パーティーを開いているのだから、たくさん食べてくるだろう。けれど、敦のことだ。それでも僕と夕食を食べたいと駄々をこねるだろうから、簡単な料理を作っておき、今では冷蔵庫でねかしている。本当は作り立てを提供したかったが、今からすることをしたあとに、落ち着いて用意できるとは思えない。


 寝室についた僕はそのままクローゼットへと歩き、ゆっくりと開ける。ここまで歩いてきたというのに、走ったあとのように心臓がうるさいほど高鳴っている。今からすることへの緊張と羞恥心からだろう。どこか冷静に判断しながら、僕は膝をついて、例のものを取り出そうと奥へと手を伸ばす。
 手を伸ばして掴んだそれは白い紙袋だ。何度か取り出したためか、その紙袋は少しだけくたびれている。この紙袋の中にあるDVDでたくさん研究をした。ネットでも調べた。準備は十分しているはずだ。何も抜かりはない。
 しかし、いざあのDVDのようなことを今から実践すると思うと、勝手に喉が渇きを覚え、つばを飲み込んでしまう。中のものを取り出して、いろいろ準備しなくてはいけないとわかってはいるのだが、やはりそこから動けない。ためらってしまう。





 ……やめてしまいたい。





 そう思うと同時に、この紙袋の中のものを装着した自分が脳裏に思い浮かぶ。

 その瞬間、顔全体に熱が集まったのがわかった。無理だ…!こんな道具を自分で装着するなんて、恥ずかしすぎる…!
 穴に入りたいほどの恥ずかしさだ。けれど、今日は敦の誕生日なのだ。できることなら、今日1日ずっと本人が嬉しいと思う誕生日にさせたい。させたいと強く思っているのだけれど、どうしても羞恥心が邪魔をする。それにこれ以外にも方法はあるのだ。べつにこれに頼らなくても、敦を喜ばそうと思えば、いくらでも…

 別の案を頭に思い浮かべ、やはりやめようと思った僕はそのまま紙袋を奥に入れようと手を動かす。しかし、ふとこれを渡してきたときに言われた言葉を思い出してしまった。




 『アツシは、君に嫌われたくないから我慢してるんだと思うよ』




 ぐっとその紙袋を引きとめるように、手に力がこもる。それを聞いたとき、僕はバカだなと思ったのだ。そんなことで僕は嫌ったりしないのに、って呆れたりもした。だからこそ、これでそれを証明しようと思ったのだ。柄にもなく頼みごとをして、普段見ないものを見て、1日いたかったのにそれを我慢して…



 「……よし」



 奥に入れようと思っていた紙袋を持って立ち上がり、その勢いのままベッドの上に紙袋を逆さまにし、それらをばらまく。がさがさと音を立てて、でてきたそれらはいつみても卑猥で、渡してきた人物の性癖は大丈夫なんだろうかと毎回疑ってしまう。


 赤い毛並みの耳がついたネコ耳カチューシャ。耳と同じように赤い毛並みでできた尻尾。その尻尾の根元には数珠のようなものが連なっており、明らかにそれが卑猥な大人の道具であるとわかる。鈴がついた黒いベルトのような大きい首輪と自分で慣らすためにあるローション。そして、勉強用としてもらった猫コスプレイのAVのDVD。



 僕はベッドの上にのぼり、DVDだけまた紙袋の中に入れ、ベッドの下に置く。このDVDで何度か勉強したが、自分もこのDVDのようなセリフを吐かなくちゃいけないと思うと、このDVDを叩き割りたくなってくる。しかし、多分、これは親切心だ、と思う。半端なプレイをしても、敦は満足できないと思ったから、こんなものを一緒に同封したのだろう。…したと信じたい。いや、信じさせてほしい。そうでなくては、僕の心が折れる。

 僕はベッドに散らばっている道具たちに向き直る。耳と尻尾と首輪とローション。僕は耳のカチューシャと首輪を手に取る。カチューシャ部分も毛がもこもことついており、手触りもいい。これに関しては、とくに躊躇う理由がないので、僕はすぐにカチューシャを頭につける。頭の中でこのネコ耳をつけた自分を思い浮かべ、吐き気がした。似合うはずがない。やはりこういうものは男の自分より女の人がやるものだ。そう思いながらも、僕は一回ベッドからおりて、クローゼットの鏡のほうへと向かう。そのときに手に持っていた首輪がチリンッチリンッと音を鳴らした。
 クローゼットについている姿見を見ながら、おかしくないか、髪を少しだけいじりながら確かめる。鏡に映った自分は自身の赤い髪と近い色の耳のせいか、それほど違和感なくつけることができている気がする。まぁ、そういっても全然嬉しくないが。


 次に首輪をつけようと手にある首輪を見る。日ごろ、支配する側の僕が首輪をつけるということは、耐え難いものだ。というか、キャラが壊れると思うんだけど。いや、このネコのコスプレすると言っている時点でキャラなんて崩壊に近いんだけどね。そう考え出すと、さきほど決心したばかりだというのに、またしても揺らいでくる。



 …敦がつけたほうが絶対かわいいのに。そう思い、後もう少しで帰ってくるであろう恋人を思い浮かべる。首輪をつけて、ネコ耳をつけて、尻尾は…かわいそうだからやめといてあげよう。あ、でも、敦はネコというより、犬か。いっそ、犬のコスプレも頼んどけばよかったかもしれない。頭の中で、敦は犬耳、犬の尻尾、首輪をつけて、嬉しそうにワンと言っていた。うん、悪くない。


 そこまで考えて、敦が帰ってくるまで1時間もないということをハッと思い出し、時計を見る。予想以上に時間が過ぎていて、最初に時計を確かめたときより20分が過ぎていた。予定では、30分前には尻尾の装着まで進んでいるはずだったのに。
 時間が迫っていると思えば、さきほどまでうだうだ考えていた自分は姿を消す。今さら、後悔している暇はない。今日は敦の誕生日なのだ。今日までの勉強もさっきの決意も全部敦の喜ぶ顔が見たいため。最高の誕生日だったと笑ってほしいため。その笑顔を見るためなら、自分のプライドなんてどうでもいいと思ったじゃないか。キャラ崩壊だろうが、なんでもこいだ。それに、僕の座右の銘は「迅速果敢」。決めたものは、素早く実行すべきだ。だって、僕は間違っていない。敦が望んでいたものをするのだ。敦が喜ばないはずがない。だから、いつもどおり、自信を持ってやり通せばいい。



 自分に言い聞かせながら、チリンッと音をならす首輪のベルトを外す。大丈夫、装飾品をつけると思えばいい。首輪という認識があるから、抵抗が生まれるんだ。どこからどうみても、首輪にしか見えないけど…!



 心の中で格闘しながらも、鏡を見ながら自身の首に巻きつけ、ベルトをしめる。首を動かしたためか、それにあわせて鈴がなった。チリンッチリンッ。さきほどから時々聞こえていたはずなのに、首をつけただけで、それはひどく耳に残る。

 深く息を吸うためにはぁっと息を吐く。呼吸器官があるのでそんなにきつくはしめつけてはいないはずだ。少し違和感があるていどのゆるい拘束感。ハイネックの服を着ているようなものだ。けれど、息が上手くできない。沸々と自然と頬に熱が集まってくる。
 前を見ると、鏡に映る自分と目があう。頬を軽く染めながら、左手で首輪に触れていた。息を吐きながら自分を見つめるその顔は少しだけ嬉しそうに………って、ありえないから。目の前にいる自分をとっさに否定する。僕はドMじゃない。どちらかというと、Sよりだと自覚している。そんな僕がこんな首輪で興奮しない。ふるふると首をふり、頬の熱を逃がすとともに、僕は鏡の自分と目を逸らす。そして、そのまま次の段階であるものに視線を向ける。








 ベッドの上残っているのは、ピンク色の容器に入っているローションと10個ほどのピンク色のパールが連なっているネコの尻尾。……あ、やばい。くじけたい。

 とりあえず、ローションで服が汚れるのは絶対なので、服を脱ぐ。誰もいないとわかっているが、普段は服を着ている空間で全裸になる(ベッドの上では大体裸じゃないかというツッコミは無視だ)というのは、やはり抵抗が生まれてしまう。とりあえず、下着一枚という格好になった僕は、脱いだ服をたたむ。そのときに、ベッドの下に何かが落ちているのが見える。なんだ?服か?ベッドの下にもぐりこみ、それを引っ張り出す。

 敦のTシャツだった。それも昨日に着ていたものだ。多分、昨日身体を重ねたときに適当に脱ぎ散らかしていたから、ふとした拍子にベッドの下に入り込んでしまったのだろう。



 『明日、俺の誕生日だから、つながったまま誕生日迎えたいんだけど…ダメ?』



 耳元で秘密事を話すように囁かれた。お願いしているはずなのに、拒否をされることを信じていない声だった。まぁ、敦の想像通り、僕はそのお願いに拒否をせずに受け入れたんだけどね。そこまで回想すると、自然とそのまま昨日の情事まで思い出してしまい、自分の下腹部が少しだけ重くなった。



 「……敦…」



 たまらずに名前を呼んでしまう。そして、Tシャツを鼻にあて、すんすんと匂いをかぐ。はっきりいって、寂しくなったからだ。だから、少しでも敦の残り香が残っているものは全て肺にしまいこんでしまいたかった。普段は滅多にこんなことを思わないのに…やはり、今日は一緒にいるべきだったかもしれない。Tシャツは洗濯洗剤の香りに混じって、かすかに敦の匂いがした。あと、お菓子の匂い。頭の中では昨日の情事が再生されてしまっている。敦に抱きしめられて、キスをされて、胸を可愛がられて、前を擦られて、中を何度もかきまわされた。



 「あ…はぁ、あつ、し…」




 Tシャツを鼻にあてているため、口も自然と塞がっている形になり、うまく言葉が紡げない。はぁはぁとひたすら息が乱れる。気がつけば、自然と左手は尖っている左の乳首に触れていた。敦は胸が好きだ。こんな平らの胸の何がいいのかはわからないが、昨日も執拗に弄ってきた。親指と人差し指で乳首をすりつぶすように摘んできたり、かと思えばダイアルを回すように右へと左へと捻りだすのだ。僕はそれを真似するように、乳首をいじめる。ぴりぴりとした電流が背中をのぼって、背中を少し反らして腰を何度か揺らめかしてしまう。




 『赤ちん、どう?気持ちいい?』




 「ん…ん……」



 数回首をたてにふると、敦は嬉しそうに笑う。そして、ぎゅっと強く指先に力を込められる。




 「やああ!いたっ…!」



 『痛い?ごめんね、赤ちん。でも、赤くなっておいしそうだよ?』



 頭の中で響く敦の言葉に僕はそっとTシャツを顔から離して、視線を下に向ける。自分の手によって、いじめられた乳首は敦の言うとおり真っ赤で、弄ってほしいといっているように芯をもってたち上がっている。




 「あ…や、ちが…」



 しっかりと事実を見たのに、それでも認めてしまうのは嫌で、首を横にふる。その間も手は僕の乳首をいじめ続ける。僕の下腹部ではずくんっずくんっと自身が反応して下着の中で早く出してとしきりに言っているように思えた。乳首も痛みと快楽を与え続けられているせいか、じんじんと痺れている。



 『じゃあ、もっと引っ張ったほうがわかる?』



 「やぁ…!〜〜んっ…は……」



 頭が酸欠状態みたいになってくらくらする。でも、もっと敦の残り香がほしくて息を吸っては、息と共に敦の匂いが逃げないようにできる限り吐かないようにしながら、きゅぅっと乳首を引っ張る。痛みや快感でぴくりっと身体全身が反応してしまう。でも、どこか物足りない。声は何度も再生することはできるのに、温もりがそばにない。それにいくら敦が触ってくれるようなマネをしても、所詮弄っているのは自分の手なのだ。そうじゃない。僕が求めているのはこの手じゃない。あの長くて、大きな手がほしい。そして、力加減を忘れたように、思いっきり弄ってほしい。触ってほしい。



 「あつ、し、あつし…」



 けれど、欲望には勝てなくて、さらなる刺激を求めて、胸をいじっていた手をゆっくりと下に下げていく。下着越しから自身を触ると、もうガチガチになっていた。敦ならすぐにでも扱ってくれるだろう。むちゃくちゃに擦り上げてイかせてくれる。でも、これは僕の手で、敦の手じゃない。イくのなら敦の手がいい。




 「ん……」



 擦りたい欲望をなんとか抑えて、僕はベッドにのぼる。そして、ローションを手に取った。しかし、今からこれを使うと考えると、抵抗が生まれて、敦の服を胸に抱きしめながら固まってしまう。けれど、これを使って中を慣らさなければあの尻尾は入らない。それにあれを入れて、敦を誘えば、きっと敦も喜んでくれる。最高の誕生日だといって、いっぱい触ってくれる。でも、ちょっとだけ意地悪気に笑って、やらしいね、赤ちんって耳元で言うのだ。そして、結局はいっぱいいっぱい愛してくれるはずだ。ぐだぐだと悩んでいた僕にそう浅ましい僕が耳打ちしてくる。想像しただけでぞくぞくと背筋が震えた。








「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -