オレのあさは、あかちんからはじまる。





 「あつし、あつし、おきろ、あつし」



 きもちよくねてたオレに、いきなりこえがきこえてきた。このこえはよくしっている。あかちんだ。ゆったりとゆめのせかいからおこされるオレだけど、あかちんのこえがすきだから、オレはねてるふり。すると、ぺちりっとほっぺたをたたかれた。


 「おきなきゃおこるぞ、あつし」


 いっていのりずむで、あかちんはぺしりっぺしりっとオレのほっぺたをたたく。ぜんぜんいたくない。むしろきもちいい。もっとあかちんのてのかんしょくをかんじてたい。だけど、あかちんがおきなきゃおこるっていった。あさからおこられたくない。あかちんとけんかしたくない。だから、オレはゆっくりとめをあけた。すると、いっぱいあかがひろがる。あ、あかちん、わらってる。すぐにおきてよかった。



 「おはよう、あつし」



 「おはよー、あかちん」



 そういうと、あかちんはオレをいいこいいこするようになでてきた。あかちんにあたまをなでられるのすごくすき。でも、せっかくおきたのに、またねちゃいそう。うとうととめをとじちゃいそうになると、あかちんはまたぺしりっとほっぺたをたたいてきた。こんどはちょっといたい。



 「こら、あつし。またねるな。おばさんがはやくおきなきゃごはんがさめるっていってたぞ」



 「あかちんもたべるのー?」



 「ううん、きょうはおかあさんがいえにいていたから、いえでたべてきたよ」



 あかちんのおとうさんもおかあさんもいつもいそがしいひとらしい。だから、かえってくるのがよるおそいときもあるし、おしごとするところでおとまりするからかえってこないときもある。そのときは、おれのいえにおとまりしたり、おれのいえでごはんをたべたりする。きょうもそうなのかなっておもったけど、ちがうらしい。ざんねん。ちょっとだけかなしくなったけど、でもあかちんがおこしにきてくれたってことは、いっしょにはたべないけど、ごはんをたべてるときもいっしょにいてくれるってことだ。それはうれしい。でも、まだあかちんとごろごろしながらおしゃべりしたい。そんなオレにきづいたのか、あかちんはまたしてもぺしりっといたくないつよさでほっぺたをたたく。たぶん、あかちんはオレのほっぺたをたたくのがすきだ。



 「ほら、おきろよ」



 たたいていたてがほっぺたをひっぱった。むにょーんってのびるオレのほっぺた。ちょっとだけいたい。でも、あかちんはたのしそうだから、オレはやめてほしいとかはいえなかった。



 「おこしてー」



 ほっぺたがのばされてたから、ちょっとだけへんなこえになったけどきにしない。オレはあかちんのほうにてをのばす。



 「…じぶんでおきれるだろう?」


 「あかちんにおこしてもらいたいー」


 「あつしはしょうがないな」


 あかちんはそういって、べっどにごろんとしているおれのうえにのってくる。そして、おれのわきにうでをいれて、ぐっとうえにもちあげられる。そして、じょうはんしだけおこされたオレ。これはちょっとまえからしてるオレとあかちんのあさのふうけいだ。

 あかちんのほうがオレよりちょっとだけせがたかい。だからなのかはわからないけど、あかちんはオレのおにいちゃんのようにふるまって、おれをあまやかしてくれる。まぁ、あかちんのほうがいっぱいしってることがおおいし、おちついてる(っておとなのひとがいってた)から、だれからみてもあかちんがおにいちゃんなんだろうけど。オレはそれがちょっといや。あまえれるのはうれしいけど、おれだってあかちんをあまやかしたい。うんっとあかちんよりでかくなって、あかちんをだきしめたい。いまあまやかしてもらってるぶんだけ、あかちんをあまやかしたい。
 おかあさんがいうには、おれのほうがあかちんよりてがおおきいから、いつかはあかちんをおいぬかすことができるかもしれないらしい。オレはそれがたのしみなのだ。



 「あつし?」



 おこされたオレだけど、あかちんをだきしめたままはなさない。それをふしぎにおもったあかちんがオレのかたあたりでくびをかしげいる。あかちんのかみがさらさらとくびにあたって、ちょっとだけくすぐったかった。


 「んー、まだぎゅーっとしときたい」



 さらにぎゅーっとだきついたら、あかちんもぎゅーっとだきしめかえしてくれた。



 「あまえんぼうなやつだな」



 「うん、あまやかして、あかちん」



 でも、いやだいやだとおもっていても、せをぬかすそのひまでオレはあかちんにあまえまくるのだ。オレがあかちんよりでかくなったひにいっぱいあまやかせてあげるために。




君に甘える、7時



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