2013/07/22 00:20




 クチュクチュッ、グチュッ…

 ハアハアッ

 ある部屋の一室。そこでは粘着質な水音と荒い息が支配していた。男女の蜜事ではない。男が1人ベッドの淵に腰掛け、自慰行為を行っているのだ。
 顔を見る限り、年齢は十代の前半に見える男、いや少年であった。その少年は慣れない快感からか頬を赤く染め、瞳を細め気持ちよさそうに吐息を零している。そこはかとなく危なげな色気を出しているその少年に、きっとその手の男が寄ってくるのならば、たちまち餌食になってしまうだろう。
 しかし、そのような危険性はこの部屋にない。無防備にその色気を振りまきながら、少年は細めていた目を少し開き、膝元、もとい自分の性器を見る。薄く生え揃っている赤い毛と大きく育っている自身の傍には、大きな紫色の頭があった。

 その紫色の頭の主も丸みを帯びた顔立ちからして10代に見える少年だった。しかし、異様に丸めているその背中は広く、紫の間から見えるその眼は飢えた獣のように飢えている。その獣に似た紫の少年もベッドに腰掛けている少年と同じように胡坐をかきながら自慰行為を行っていた。

 性への興味を持った少年同士が、回されてきたアダルト雑誌、もしくはDVDなどを見ているうちに、同じ部屋で自慰行為をするのは珍しくない。しかし、この少年たちの近くにはそんなものは1つも転がっていなかった。いや、紫の頭の持ち主のいる場所は少年の股の間で、そんなものを見れるスペースなどない。
 互いを見ていれば興奮するとでもいうように、紫の頭の持ち主は赤の少年の性器を、赤の少年は紫の少年の飢えた目から視線を外さなかった。



「あっ、はっ…赤ちん、赤ちん」

「んっ…いきが…ふっ…、ちかいぞ…」

「だいじょーぶ…さわんないから」

 赤の少年の叱咤に、紫の少年は気にしないというように舌を伸ばして、赤の少年の性器に近づく。しかし、その舌は決して性器には触れず、ギリギリのところでぷるぷると震えながらも止まっている。その行為は赤の少年の性器から溢れる雫が自分に飛ぶのなら受け止めたいという意思表示だった。
 それを視線と動作だけで受け取った赤の少年の瞳は気味が悪いと歪めるどころか、さらに喜悦と快感に熱がこもる。そして、それに応えるかのように大きくやや雑に赤の少年が性器を擦り上げた。ピュッピュッと先端に溜まった雫を飛びちり、紫の少年に向かうがその雫は紫の少年の舌というより頬や鼻に降りかかるばかりだ。しかし、一滴でも舌に降りかかるものなら、紫の少年は喉をならして飲み込むのだ。

「んくっ…もっと…」

「ふっ…本当に…物好きだな……」

「あかちんが…いったんでしょ?さわるのはダメだけど、それいがいならなんでもしていいって…」

「そうだが…ん…変態的すぎる…」

「でも、こーふん、するでしょ?」

「ああ…すごく…」

 決して普通ではおこなわれない行為。
 それも見られているのは、男で、同じ部活のチームメイト。それだけでアブノーマルだというのに、さらに先日勝負を挑み敗北をした男というレッテルがついている。

 紫の少年の体格ならば、赤の少年を押し倒し、蹂躙することも簡単にできるだろう。けれど、紫の少年は決してしない。なぜかって?赤の少年が勝ち、紫の少年が負けたからだ。
 それだけで紫の少年は目の前にエサを吊り下げられた馬のように息を乱しながらも獣の目をするだけで決して赤の少年に触らない。エサにありつくことができない。
 哀れだ、実に哀れだ。勝者になりさえすれば、好き勝手に出来るというのに。好きだという気持ちを素直に身体へとぶつけることが出来るのに。


 それゆえにたまらない。


 赤の少年は愉悦に性器を大きくさせる。限界までパンパンに張り詰めているそれに、さらに荒い息をあげた紫の少年に、赤の少年の背筋から脳まで電流が駆け上った。
 
 ああ、いい…気持ちいいよ。たまらない。

 その興奮のまま爆発しそうな性器に、赤の少年はせっかくここまで愉しませてくれた褒美をやろうと、いまだ必死に舌を伸ばしている紫の少年を見ながら思いついた。

「はっ、あ…あつし…いい子のきみに、ほうびをあげる」

「んっ、なに…?」




「ミルク、あげるよ」


 おろしていた足をあげ、紫の少年の首元に巻きつける。ドロドロに汚れていた手で紫の髪を掴み、大きく開けていた口の奥の奥まで自分の性器を突っ込んだ。

「ん゛っ!!」

「あっ―――――っ!射精(で)る…!!――――っ――――っ!」

 突然の異物に舌が喉が押し返そうとする運動を感じる。その心地いい動きに赤の少年は衝動に任せるまま、”ミルク”を少年の喉に流し込んだ。

「んう゛…」

「あっ…あっ…」

 粘ついたモノが咥内に広がり、喉を塞ぐ。息苦しさに紫の少年は思わず歯をたててしまいそうになったが、すぐにその力を抜く。しかし、歯をたてた瞬間、塞いでいたモノがビクビクと震え、赤の少年が小さく喘いだのを聞き逃さなかった。
 なんとか鼻で呼吸し、こくりっこくりっと喉を動かす。粘ついたモノがなかなか取れてくれてないせいで紫の少年は涙を流しながらも決して赤の少年を離さなかった。
 また、赤の少年も初めてに近い行為をしたせいで倦怠感が抜けないせいか紫の少年を掴んだまま離さなかった。






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