今日は3月14日。
世の中の男は一日そわそわと周りの目を気にする。
…それも勝ち組の場合のみ。
「…チッ」
1人の男が、手に持った小さな箱を見ると小さく舌打ちした。
ここは自室。誰の反応もなく、静かに時が流れる。
「…どうすりゃいいんだ」
そう呟くのは、世間では人類最強と謳われる男、リヴァイ兵長。
彼が今日この日、いつもは見れないくらい項垂れている理由。
それは…
〜〜〜〜〜〜1ヶ月前
:リヴァイ視点:
夜、会議が終えた俺は自室に戻るため、廊下を歩いていた。
すると後ろから呼び止められる。
「リヴァイ!」
振り返ると、そこにはつい最近、お互いの気持ちを打ち明け合い、恋人同士となったユキがいた。
「なんだ、ユキか…どうした」
俺は口元が緩みそうになるのを抑え、平然を保ちユキに向く。
「あのね…っ」
ユキは両手を後ろに隠し、モジモジする。なんなんだ、一体。
「なんだ、小便か?」
「ばっバカ!違う!」
ユキはバッとこちらを向くと少し顔を赤く染め訴える。
「なんなんだよ、一体」
俺は急かす様に聞くと、ユキはまた俯くと両手を一気にだして来た。
「これは?」
ユキの両手に握られているのは、ラッピングされた小さな箱。
「これ…リヴァイに…」
ユキはまだ俯いているが、耳が赤いのが見える。
それにしても、何故、今日俺に?
俺の誕生日は今日ではない。
そう思ったが、折角くれるというのに、こんな質問は野暮だ。
俺は素直にその箱を受け取る。
「…ありがとう、ユキよ」
俺はそういってユキの手を引くと抱きしめた。
ユキは俺の胸に顔をうずめているが耳が赤いのが見えるのできっと顔も赤いんだろう。
「それ、あけてみて…」
ユキがそういうので、一度ユキを離すと、俺はその箱を開けた。
「…チョコレートか?」
中には小さなチョコレートが何粒か入っていた。
「そう、リヴァイは甘いものがあまり好きじゃないからどうしようか迷ったんだけどね?やっぱり今日はチョコレートかなって」
ユキは優しく微笑みながらニコリと笑って説明してくる。
「これでも、リヴァイのためになるべく甘くならないようにビター使ったりしたんだよ!頑張ったんだから!」
ユキはフフッと笑う。
…今日はチョコレートの日なのか?よくわからんが、ユキが俺を想って作ってくれたんだ。
俺は一つを摘まむと、口に運ぶ。
「…ど、うかな?」
ユキは恐る恐る聞いてくる。
「…悪くないな」
俺はそういってもう一つ手にとって食べた。
「本当に!?よかったぁ…」
ユキは安心した様で、ふーっと息を吐いた。
するとユキは満足したのか、
「私、まだ調理場の片付け終わってないから、いくね!」
「ああ、ありがとな」
「いえいえ、お口にあってよかったです」
ユキはそういうと、俺とは別の方向をむき、「また明日ね!」と走り去って行った。
俺は、手に持った箱を眺め、自室に戻った。
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