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という事が、一ヶ月前に起こったわけだが。

それがバレンタインだったという事に気がついたのはさっきだった。

それまで俺はただ、ユキがチョコをただプレゼントしてくれただけだと思い込んでいた。

何故、それがバレンタインという日だったとわかったかというと…


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いつもの様に夜の会議が終わり、自室に戻ろうと席を立とうとした。
すると、ハンジがこちらへ駆け寄ってくる。

「ちょっとリヴァイ!?」

「…なんだ」

「なんだじゃないよ!なにしてんの!」

ハンジは俺に詰め寄ってくる。

「なんの話しだ」

「今日が何の日か忘れたわけじゃないでしょ!?」

「は?何かあったか?」

俺がそういうとハンジはガンっと机に頭をぶつける。

「…まさか、本気でわかってないの?」

「だから、なんのことだ」

俺はいい加減イラついてきたのでハンジを睨みつけた。

「こんのバカリヴァイ!!!今日はホワイトデーでしょうが!」

「…は?」

「まさか、ホワイトデーを知らない程バカじゃないよね…?」

「…バカで悪かったな」

なんだホワイトデーって。
白い日ってなんだ。

ハンジは俺を呆れた顔で見る。

「まじか…」

「なんなんだよホワイトデーって…」

俺は一応聞いておく。

「…一ヶ月前、ユキにチョコ、貰ったでしょ…」

ハンジは俯きながら机に両手をおき、震えた声で俺にいう。

「…ああ、貰ったな」

「一ヶ月前は2月14日…バレンタインデーっていってね、女の子が好きな男にチョコをプレゼントするっていう行事があるんだ…」

俺は目を見開く。
あの日のあのチョコレートには、そんな意味が…

「そしてねリヴァイ、今日は3月14日。バレンタインデーにチョコを貰った男は、お返しとして女の子にプレゼントするんだよ…それがホワイトデー。バレンタインデーとホワイトデーは恋愛行事なんだよ!わかった!?」

ハンジは一気に喋るとバッと顔をあげて俺に迫る。

「あ、ああ…」

俺がそう答えるとハンジの目はキッと鋭くなる。

「ユキはね、一ヶ月前のバレンタインの日、朝から調理場でチョコを作ってたよ、リヴァイのために。何回も失敗してたけど、リヴァイの為にって何回も作り直してた。夜までかかるくらいに」

ハンジの言葉に俺は焦る。
俺は…ユキのチョコを軽い気持ちで受け取ってしまった。
ただのプレゼントだと思った。

まさか、こんな…

「ユキはチョコができると一目散にリヴァイのところへ行ったよ。そして調理場に帰ってきたユキは、凄く嬉しそうにしてた。リヴァイに喜んで貰えたって…」

ハンジは悲しそうに話す。


「なのにこのバカときたら…まさかバレンタインさえ知らないなんて…」

いつもはバカと言われちゃ黙ってはいない。が、

「返す言葉もねぇよ…」

チラッと時計を見ると、23時。
あと1時間でホワイトデーは終わる。
今から何かプレゼントを買いにいくにしてももう店など閉まっているだろう。

「ユキが不憫すぎる!」

ハンジはそういうと泣き出した。

「…ちくしょう、バカか俺は…」

「泣くな、汚ねぇ。…教えてくれて、助かった。悪かったな、手間をかけさせた」

俺はハンジにハンカチを渡すと、足早に会議室を後にした。

後ろでハンジの鼻を噛む音がした。あのハンカチは洗って返されたとしても、捨てよう。




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