『真子ってさ、一体何人初恋の人いるの?』 『何やねん、急に』 俺の初恋の人や。 今まで私の目の前で何人の女の子に言ったか分かってるの? 『昔の事なんていちいち覚えとらんわ』 『だろうね』 リサには言った事あるみたいだけど、ひよ里は言われた事ないって怒ってたし。 白は…どうなんだろ。 ちなみに私も…言われた事ないんだけどな。 『リサが言ってたけど、やっぱり可愛い子には皆言ってるの?』 『どうやろなァ』 遠くを見つめたまま、ぼそりと呟く。 真子の本当の気持ちを知りたいのに、なんか上手くはぐらかされてしまった気がする。 『じゃあ言われた事のない私は可愛くないってことなんだよね』 本心を悟られない様に冗談混じりに真子の顔を覗き込んでみれば。 『名前は初恋の人ちゃうからな』 覚悟はしていたけれど、ここまではっきり言われるなんて。 顔では懸命に平静を装おうとしても、心臓がきりきりと悲鳴を上げていた。 『名前は運命の女や』 『運命・・?どういう事?』 そんな事も分からんのかいな、溜息が漏れるのと同時に、抱き寄せられぐっと彼の顔が近づく。 『初恋っちゅうんは過去のモンや。運命の女は一生モンやろ』 私にはいまいち理解出来ない事を自信満々に言う真子。 『よく分かんないけど…じゃあ私は一生真子の側にいろって事?』 『…そんなん今更やろ。当たり前や』 相変わらず強引だけど、そんな所がまた好きだったり。 運命のひと 『初恋の人っちゅーのは、なんちゅうかまぁ…社交辞令みたいなモンや』 『運命の女っていうのもそうだったりして』 『アホか、そんなんとちゃうわ』 二人の間の距離が一気に縮まって、そして一瞬だけ唇が触れ合った。 な?社交辞令ちゃうやろ? …うん。 もう後戻りは出来へんからな。 えー。 えー言うな。 fin | |