ここは瀞霊廷、五番隊隊舎。



そこにいつもの如く2つの声が響き渡っていた。



「名前、この書類手伝うてくれへんか??」


「あ、無理やで!!名前ちゃんは今から僕と遊ぶんですー!!」


「なっ!?お前、まだ勤務中やろ!?」


「えー、隊長はんのいけずぅ!!」



五番隊隊長、平子真子。



五番隊第三席、市丸ギン。



声の主はこの2人であった。



そして、この2人の間に立たされていつも困惑の表情を浮かべているのが。



『隊長、ギンちゃん。ちょっと落ち着きましょう??』



五番隊の第四席という立場にある名前。



隊長に気に入られ、三席に懐かれ、日々大変な生活を送っているのである。



「いやや、コイツが名前の側におると思っただけで虫唾が走るわ。」



「それはこっちの台詞ですわ。何で平子隊長が名前ちゃんの側に…。」



「おいコラァ、それどういう意味や!!」



また2人での言い争いが始まる始末。



『だから2人とも落ち着いて…。』



もうオロオロするしかない名前。



そんな時、唯一の救世主である藍染が執務室に入って来た。



「隊長、ギン。少しは名前君の迷惑も考えては…。」



「大体ギン、お前は図々しすぎんねん!!」

「そういう隊長はんかて名前ちゃんのこと贔屓しすぎとちゃいますの??」



「あの、隊長…。」



「お前まだガキやんけ!!」

「子供やったらどうやっていうんですかぁ??」

「そんな色恋に現抜かすにはまだ早い言うてんねや!!」



「ねぇ、ギン…。」



「成程、隊長はんが名前ちゃんに執着するんは色恋のことやからっちゅうわけですね??」

「なっ…!?それ言うんやったらお前かて名前のこと好きなんやろ!?」



「ちょっと、僕の話…。」



「えぇ、そうです。好きで悪いですか??」

「む、ムカつくやつやのぉ…!!」

「誰かさんに似たんとちゃいますかぁ??」

「誰や、そいつは!!」

「誰って決まってるでしょ??」



「話聞けやワレェ!!」
 (※藍染です)



「「………!?」」



「さっきから黙っとけばいい加減やかましいんじゃ!!

なんやねん、低レベルな争いしゃーがって!!」
(※藍染です)



藍染が髪を振り乱して叫んでいた。



『あ、藍染副隊長…??』



「はっ!?い、いかんな僕としたことが…。

何だい、名前君??」
(※藍染です)



『い、いえ……。』



名前も思わずためらう。



「惣右介、お前キャラ変えたんか??」



「…誰のせいだと??」



「「スンマセンでした…。」」



眼鏡の奥からギラリと睨まれ、縮こまる2人。



「まったく、これじゃ仕事もはかどりませんね。

しばらく名前君には近づかないでもらいましょうか。」



「「えぇーー!?」」



明らかに不服そうな2人を見て、藍染はニヤリと笑った。



「そうですね…。では、

この書類の山を先に片づけた方が、名前君と一緒にいる権利を得るというのはいかがですか??」



「「よっしゃ、負けへんで!!」」



一目散に自分の机に着く2人。



『…私の意志は反映されないのですね…。』



かくして、名前争奪戦はスタートした。






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