交わる視線




抱き寄せられた身体




触れる、唇





それは、余りに強引で。

そんなつもりはないのに、重なる唇から逃げようと手で押し退けてみる。


力で敵う訳なんてないのは分かっている。でも、このままじゃ…。



事の始まりは、私の挑発。




『拳西って、エッチの時どんな顔するの?想像出来なーい。見てみたいかも?なーんて冗談だけど』





酔った勢いで拳西にそんな事を言ってしまった。





「……っ…やめ…」





呼吸をするべく離された唇で、僅かに言葉を発する。しかし、それはすぐに拳西によって塞がれてしまう。




「ふ……んっ…」




その接吻は激しさを増し、身体の芯が熱くなると同時に、抵抗する事すら出来ない状態になってしまった。

見兼ねた拳西は接吻を止め、もたれ掛かる私を抱え歩き出す。




「どこ、行くの…?」




「見てぇんだろ?それとも、てめぇはここでがいいのか?」





「拳西っ!そんなつもりで言ったんじゃ…!!」





「どんなつもりだろうが、俺の知った事じゃねぇ。誘ったのは…名前だろーが」





じたばたしてみても、先程と同じで意味がない。あっさりとベッドまで連れていかれてしまった。


諦めに近い覚悟を決め、大人しくした。拳西の事は好きだけれど、こんな身体だけの関係になりたい訳じゃない。




私を好きだという気持ちを、少しでも持っていて欲しかった。
ちゃんと、私を見て欲しかった。




「………っく…」




「泣くな」




「少しでも拳西の中に私がいないなら…こんなの望んでなんか、いない」





大きなため息が聞こえた。


勝手な奴だと、呆れた事だろう。
自分から挑発しておいて望んでいないなんて。





「なんとも思ってない奴に、こんな事するか」




「…………え?」




「二度は言わねぇぞ。
好きだ、ちゃんと想ってる。だから泣くんじゃねぇよ」




思いもよらぬ言葉に、更に涙が零れた。





「泣くなっつったろーが!!お前の気持ちなんざ、最初から知ってんだよ。
それに…俺も見たいしな」




そう言って不適な笑みなを見せたのは気のせいだろうか。







ココが二人のスタート地点









取り敢えず、この体制止めない?
馬鹿か、止めたら続き出来ねぇだろーが。





fin



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