「あー、クソ!!やっぱりアイツ俺のトコに書類置いて出てったんかい。道理でやれどもやれども減らんはずや。」



五番隊隊舎執務室では、真子がぶつぶつ言いながら自分の椅子の背もたれに背を預けていた。



実は先ほど。



「あれ、隊長。まだ終わって無かったんですか??ギンはもう終わったみたいですけど。」

「俺かてメッチャ頑張っとるわ。せやけど全然減らんねん、しゃあないやろ。」

「…すみません、ちょっと失礼しますね。」

「あ??何すんねん。」

「やっぱり…。」

「やっぱりって、何や??」

「隊長。今貴方が書いている書類、それは僕がギンに割り振ったものです。」

「なっ……!?」

「今すぐ連れ戻してきます。」



そう言って藍染は出ていったのだった。



「そら終わるはずないわな…。」



お陰で名前に会いに行くこともでけへんかった。



そうつぶやくと同時に開いたふすま。



『隊長、お疲れ様です♪』



「……!?名前やんけ。」



『ギンちゃんの書類、押しつけられたんですって??』



そう言って笑いながらお茶を机の上に置いた名前。



彼女の心遣いに思わず笑みがこぼれた。



「せやで、お陰で損した気分や。名前と過ごすこともでけへんかったしな。」



『そんなことありませんよ??』



名前はそう言いながら真子の側に歩み寄る。



『現に今、私は隊長と一緒にいるじゃありませんか♪』



私は今一緒に入れるだけで嬉しいです。



そう言ってはにかむように笑う名前。



「……!!せやな♪」



笑顔の名前につられて笑顔になった彼は、椅子から立ち上がった。



「名前……。」



彼女の肩に手を置き、真子は微笑んだ。



『平子隊長……。』



名前も微笑みを返す。



執務室内には、とても穏やかな空気が流れていた。



真子の手が彼女の頭に回され、彼の顔が名前に近づく。



それを合図にするかのように目を閉じる名前。



唇が合わさるその時。



「ねぇ、何しとるん??」



「『………!?』」



2人の間にはギンが顔を出していた。



『ぎ、ギンちゃん!?今書類書いてるはずじゃ!!』



「そんなんもうとっくに終わったで。それより名前ちゃん、僕と遊んで♪」



名前に抱きつくギン。



「……お前は…

ええ加減にせぇ!!」



「わぁっ!!隊長はんが僕のこといじめるー!!」



「待たんかい、ワレ!!」



大声を上げながら執務室を出ていく2人。



『………。』



驚いた表情だった名前の顔がすぐに笑みに変わる。



『あーあ、いつになったら伝えられるのかな。』



私の気持ち。



あの2人の攻防戦が終わらない限り、それは無謀なのかもしれない。





fin






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