翌朝目を覚ましたわたしの視界に真っ先に飛び込んできたのは、部屋に差し込む陽の光によって眩しいぐらいに輝く黄金色の髪だった。



目の前にあるそれが一体何なのか、寝起きの頭でどれだけ考えても鈍った思考では答えなんてそう簡単には出るはずもなく。
しばらくの間ぼんやりと金色の世界を眺めていると、突然声がしてまどろみの中から引き戻された。





『おはようさん。先に起きとったんやったら起こしてくれたらええのに』



『あ、お…、おはよ……』





ああ、そうだった。
昨日真子がお見舞いに来てくれて。








それから………、
…あの後どうなったっけ?








記憶がない………。









『…今オマエ、確認したやろ?』


『えーっと、何の話…?』


『良かったなァ、脱がされとらんくて』


『…』



心の中まるごと全部、この人に見透かされているようだった。わたしがどれだけ取り繕おうとしたって、ほんとに真子には敵わない。





『だって真子、飢えてそうなんだもん』


『ま、そこそこな。て、アホか。いくら俺かて、病み上がりの女に手ェ出そなんて思わへんし』


『意外。真子ならそんなこと気にしないと思ってた』


『何やねん、そんな生意気な口叩けるんやったらいっそ襲ってまえば良かったわ』





髪を乱暴に撫でられて、胸の奥がぎゅっと締め付けられた。



こんな言い合いはずっと昔から日常茶飯事で慣れっこのはずなのに。
何だろう、この感覚には今だに慣れることが出来ない。







『そういえば今何時?そろそろ起きないとやばいよね』


『昨日の今日で何言うてんねん。ごちゃごちゃ言わんと寝とれや』


『ただでさえ仕事たまってるんだからそういう訳にはいかないよ』





本当はどんな顔して会えばいいか解らなかった。羅武にも、それから昨日危険な目に遭わせてしまった隊士達にも。






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