『副隊長はんの言うてた通り、ホンマにべっぴんさんやなァ』


『え?』


『ボクの運命の人や』



目の前に立つまだあどけなさの残る少年は、今どき大人でも言わないような歯の浮く台詞をさらりと言ってのけた。





『おいおいおい。一体どうなってんだよ』


『そんなこと言われても、わたしにも解んないよ』



戸惑い気味の大人二人を大して気にも留めず、軽い足取りで部屋の中まで踏み入ってくる。




『えーっと、君が今度五番隊に配属された…』


『君やのうてギンや言うてるやろ?ちゃんと自己紹介したやん』



下から覗き込むようにぐいっと近付いた顔に、思わず一歩後ずさりしてしまった。けれど口の端を緩く持ち上げて笑うそのギンという名の少年は、全く物怖じなどしていないように見えた。




『仲良うしてや、カヤちゃん』


『何でわたしの名前…』


『言うたやろ?副隊長はんに聞いたて。カヤちゃんのことならなーんでも知っとるんやで、ボク』



藍染さんが?
どういうつもりか知らないけど何でこの子にわたしのことを…。





『ちょ、ギン…何してんの!』


『やっぱりべっぴんさんはええ匂いするなァ』


『ちょっと抱きついてないで離しなさいっ』


『いややー。なァ、カヤちゃんて付き合うてる人とかおるのん?』



駄目だ、人の話全然聞いてない。助けを求めようと視線を上げて羅武を見ても、災難だなと言いたげにただにやけているだけでまるで他人事だ。





『羅武、笑ってないで何とかしてよ』


『悪ぃな、俺こういうの苦手なんだ』


『なァなァ、おらんのやったらボクと付き合うてやー』



そのあどけない表情と甘えるような猫なで声は、母性本能を擽るには充分過ぎる程の凶器だ。
もしこの歳でそれを解ってやっているのだとしたら彼の将来が恐ろしい。





『ねぇ、ギン。気持ちは嬉しいけどわたし達歳も離れてるし、同じくらいの歳で素敵な子他にいっぱいいるでしょ?』


『歳の差なんか関係あらへんよ。それに障害が多いほうが燃えるタイプやねん、ボク』





これ以上言葉が見付からず何と言ったらいいものかと本気で困っていると、背後から何かに引っ張られるように身体に巻き付いたギンの腕が離れていった。





『痛たたた…。誰やの、いきなり…』


『ええ加減にせえ。何遊んどんねん』






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