うんざりするぐらいたまっていた書類の山も前日死に物狂いで片付けたおかげで、翌日は拍子抜けする程にあっさり終わった。
何といっても今日は絶対に早く終わらせなければならない、不純な動機があったのだけど。



『んー、終わったぁ…』



両手を上に突き出して思い切り伸びをすると、溜まった疲れもじわじわと解れていくようで。


『お疲れさん』


羅武の大きな掌が頭をぐしゃぐしゃにしてくる。労いの言葉で仕事の疲れなんか一気に吹っ飛んだ。





『何か仕事したー、って感じ』


『それ、普段全然やってねえみたいに聞こえるぜ?』


『いつも以上に頑張ったって意味ですー』



机の上の書類を整理しながら片付けを始めたところで、いつものように遠くからバタバタと豪快な足音が近づいてきて思わず吹き出してしまう。





『ほんとにアイツは賑やかなヤツだ…』


『あの音聞くと、一日が終わったって気になるよね』



仕事終わりにはいつもあの音が私を迎えにきてくれて、一緒に帰るのが当たり前になっている。とは言っても最近は互いに忙しく、なかなかそれも出来なくなっていた。



そして例のごとく壊れるんじゃないかというぐらいのすごい勢いで襖が開け放たれる。



『カヤ!!迎えにきたったでェ。終わったか?』


『うん、丁度今終わったとこ』





『ひよ里、そんな慌てんでも酒は逃げてかへんって』



少し遅れてひよ里の後を追ってきたリサも、襖の隙間から顔を覗かせた。





『何言うてねん!タダで酒が呑めんねんぞ?早いとこ行っていーっぱい呑まんと損やろ』


『お前、奢ってもらう気満々だな…』



相変わらず七番隊隊舎全域に聞こえているんじゃないかというぐらい元気な声に、羅武は耳を塞いでいる。





『じゃあそろそろ行こっか。羅武はどうする?一緒に行く?』


『いや、俺は真子達に声かけて行くわ』


『分かった。じゃあ私達先に行ってるね』


『おう。じゃあ、あっちでな』



羅武に見送られて、ひよ里とリサと3人隊首室を後にした。






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