『紹介するよ。今度うちの隊の七席に昇進した、南師 皐さん』


ローズに促された彼女は一歩前に出ると、小さな身体を目一杯折り曲げてがばっと頭を下げた。




『よろしくお願い致します。南師と申します』



まだ新人ではあるが、実力をかわれて一気に昇進したらしい。





『…で、こちらが小春木カヤさんと、矢胴丸リサさん。二人の事はもちろん知ってるよね?』


『はい、もちろん存じ上げております。お二人共私の憧れの方ですから』


『小春木です。よろしくね、南師さん』


『リサや。リサちゃんでええよ』



とりあえず形式的な挨拶を済ませると、リサが口を開いた。





『にしても隊長自ら挨拶に回っとるなんて、あんたんとこよっぽど暇なんやね』


『リサ…』



リサの毒舌っぷりは今に始まった事じゃないけど。相手が誰であろうがお構い無しなのには、いつもひやひやさせられる。



『彼女みたいに新人で一気に昇進するのは特例でね。他隊の隊長格に挨拶がてらこの辺りを案内していたんだ』



目の前に立っている彼女は今はまだ幼さが残りとてもそんな風には見えないが、特例で昇進するという事は余程の実力があるんだろう。





『ふーん、あんた見かけによらずすごいやね。で、どうや?この辺の隊舎は。ええ男おった?』


『え…』


『そういう楽しみがないと死神なんかやってられへんからなぁ』



リサの投げ掛けた質問に明らかに動揺するように視線を泳がせる。ほんのり赤く染まった頬が語らなくとも事実を物語っていた。





『そういえばここまで頑張ってこれたのは憧れの人に少しでも近づきたいからだって、前に言ってたよね』


『隊長…!それは誰にも言わない約束じゃないですか…』


『へぇ、面白そうな話やね』



ローズがうっかり漏らした一言にリサが直ぐ様食らい付いた。
そんなええ男おったか?と首を捻ってあれこれ考えを巡らせているようだ。






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