四番隊でしばらく休ませてもらったわたしは、羅武の好意に甘えていつもより早く上がらせてもらうことにした。





部屋の窓からは薄明かりが漏れていて、眠るにはまだ少し早い気もした。





真子のあんな顔、初めて見た…。





もぞもぞと布団の中に潜り込んでみるものの、気がかりなのはあの後の真子と藍染さんのこと。話があるって二人で出て行ったけれど何か普通の雰囲気ではなかった。



けれどわたしの身体は自分の思っている以上に疲れ切っていたようで。あの後の二人のことを考えているうちに、いつの間にか気を失うように眠りに落ちていた。







―――‐‐‐







コンコン、





部屋の戸をノックする音で目が醒めた。
どれぐらい眠っていたんだろう。辺りはすでに真っ暗なようだ。





『…はい』



誰なんだろう、こんな時間に。寝起きの覇気の全く感じられない声で、外にいる相手に返事をした。





『俺や』


『しん…、じ?どうしたの…、こんな時間に』


『いや、ちょっと気になったから様子見にきてんけど。寝とったか?』



引き戸に手をかけるものの開けることを躊躇してしまう。





『せっかく来てもらって悪いんだけど…』


『まだ具合悪いんか?』


『寝起きだし、すっぴんだし、部屋片付けてないし』



そんな姿、いくら何でも晒せる訳がない。





『何や、そんなことかいな。オマエのすっぴんなんか見たかて驚かへんわ』


『ちょっと、それどういう意味!?』



やられた。こんなのいつものこの人の手口だって解ってたはずなのに。なのにこんなにも簡単に騙されてしまうなんて。







『何や。全然可愛えやんか、すっぴんも』



見事に彼の口車に乗って勢いよく開け放った戸の先には、とびっきりニヤけた真子の顔があって。悔しいけどやっぱり彼は一枚も二枚も上手だ。






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