答えを聞くのが怖かった。
その反面、真実が知りたいというのも本音で。だけど真子の顔が曇るのを見て、聞かなければ良かったとすぐに後悔した。





『やっぱりそうなんだ…。何で黙ってたの?』


『何もやましいことあらへんし、オマエに余計な心配させたくなかってん』



この人の言葉を信じればいい、ただそれだけのはず。





『…じゃあ、隊首室で抱き合ってたっていうのは?』


『はァ?何やねん、それ…。別に抱き合っとった訳とちゃうわ』



本音はこんなこと聞きたくないし、こんな風に惑わされないでもっと毅然としていたいけど。でも自分の中の弱い部分が決してそれを許してはくれない。





『なァ、俺のこと信じられへんか?』


『違う、そうじゃないけど…』


『て、俺が不安にさせとるんやんな。済まん』


『謝らないでよ。別に真子を責めてる訳じゃない』





何やってるんだろう。
こんなの全然自分らしくないじゃない。









じゃあ、わたしらしいってどんなの?









解らない、考えがまとまらない。
頭痛がひどくて、もう何も考えたくない。







『わたし、もう行かないと。今日実技演習の引率頼まれてるから』


『何言うてんねん、そんな状態で行かせられる訳ないやろ。羅武に言うて他のヤツと代わってもらえ』


『平気。薬も呑んできたし、じきに良くなるから』


『ちょ、カヤ…待てって』





後ろで真子がまだ何かを言っているみたいだったけれど。その言葉がわたしの耳に届くことはなかった。背中越しに聞こえてくる彼の声が今は遥か遠くに感じた。






- 60 -


|

しおり




「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -