次の日も、相変わらず朝から体調は絶不調。昨日から続いているあの鬱陶しい頭痛で目が覚めた。



一眠りしたというのに身体中の倦怠感は全く癒えていなくて。疲れきった身体は重力に逆らうことが出来ず、もう一度布団の上に倒れ込む。






『…あ、そういえば……』



天井を仰ぎ見ながらふと思い出す。
今日は新入隊士達の実技演習を兼ねた虚討伐の引率を務めることになっている日だ。



行きたくないな…。
甘えたことを言っていられないはずなのに、弱音を吐かずにはいられなかった。
そんな情けない自分をやっとの思いで奮い立たせると、ふらふらと寝床を出た。





―――‐‐‐





『おはようさん』



何となくすっきりしないままぼんやりと隊舎に向かって歩いていると、後ろから腕を掴まれた。





『真子、おはよ…』


『カヤ、オマエ具合でも悪いんか?顔、真っ青やで』



心配そうに頬に伸びてきた手を身体が反射的に躱していた。





『ホンマに大丈夫かいな…』


『誰か見てたら困るでしょ。不用意なことしないで』



本当は今すぐにでも横になりたいぐらい立っているのが辛かった。周囲の景色がぐらぐらと揺れて見える。





『昨日、リサ達から話聞いたで』


『…』


出来れば真子に知られずに何とかしたかったんだけど。





『あれからオマエんこと探しに行ったんやけどおらへんかってん。何もされんかったか?』


『別に、何も…』



何もされなかったと言えば嘘になる。だけど本当のことなんて言えない。
真子に余計な心配をかけたくはなかったし、それにきっと心のどこかで抱きしめてくれたという確証のない彼女の言葉にこだわっていた。





『…ねぇ、真子』


『何や?』


『南師さんって今も真子のとこ出入りしてるの?』






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