あれから真子との関係が妙にぎくしゃくしてしまっている。藍染さんのこともあって、五番隊には極力近付かないようにしていた。
というよりも近付けなかったと言ったほうが正しいかもしれない。


それにあの時の真子と羅武の会話も気になる。真子に聞きたいことが山程あったけれど、それと一緒にその話題に触れたくない気持ちも混在していて。
実際自分でもどうすればいいのかよく解らないでいた。





重い頭を必死に働かせて書類に目を通してみるものの、正直内容なんかサッパリだった。
それでも時間だけは過ぎていくもので、今日もすでに辺りは真っ暗。




『悪いんだけど俺この後用があるんだよ、あと頼めるか?』


『んー…』


『おい、カヤ!聞いてんのか?』


『あ…、ごめん。あとはやっとくから任せて。お疲れ様』


『…ったく、大丈夫かよ』



呆れたような心配したような表情で羅武が隊首室から出ていく。
隊長が不在の時こそ自分がしっかりしないといけないのに。今の私は副隊長を名乗るにはおこがましい程腑抜けだ。




一人きりになった隊首室。
これから帰途に就こうとする隊士たちのぱたぱたという足音や話し声だけが、襖一枚隔てた向こう側から聞こえてくる。
いつもと変わらないそんな生活音を聞いていれば少しは気も紛れた。






『すみません。愛川隊長、いらっしゃいますか?』


『はーい、どうぞ』



不在の羅武に代わって声をかけると、失礼しますという声と共に一人の隊士が姿を現す。



『ごめんね。隊長、今日はもう上がったから』


『そうだったんですか。こちらの提出期限が明日までということでしたので、隊長に決済印を頂きにきたんですが…』


『そう、じゃあわたしが預かっとく。明日朝一番に渡しておくから』


『すみません、それではお願いします』


『ご苦労様』


『あの…』



書類を受け取って机上に視線を戻そうとすると、まだ何か言いたげにそこに佇んでいる。



『どうかした?』


『…あの、最近小春木副隊長の元気がないような気がして。どうかされたのかなと…』


『え…』


『あ…、いえっすみません!わたしのような者が差し出がましいことを…それではお疲れ様でした!!』



深々と頭を下げて慌てて出ていこうとする隊士を呼び止めた。



『待って。心配かけてごめんなさい、私なら大丈夫』


『そうですか、でしたらいいのですが…。他の皆も心配していましたから』



最近小春木副隊長が笑っている所をあまりお見かけしていないと。



『皆にも心配してくれてありがとうって伝えておいて。お疲れ様』


『はい、それでは失礼します』





個人的な感情を持ち込んで、部下にまで心配かけるなんて最低だ。しっかりしないと…。






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