早朝から隊首会に出ている隊長に代わって業務をこなしていた。瀞霊廷通信を各隊に配り終え廊下を歩いていた所で、ちょうど隊首会を終えた真子と羅武が前方からやって来るのに出くわしてしまった。 『あ、やば…』 あんなことがあったばかりでさすがに真子とは顔を合わせずらく、とっさに空いている部屋に身を隠していた。 霊圧を消して息を殺しそっと外の様子を窺う。少しずつ近づいてくる二人の足音と、鮮明に聞こえてくる声。 『その子、最近ちょくちょくお前んとこ通ってねえか?』 それって、 南師さんのことだよね…? 『どう考えたって七席が隊長格に頻繁に会いにいくのはおかしいだろ』 『俺にもよお解らへんねん。急に来て昼メシ誘われた時はびっくりしたわ』 私の知らない所で二人は会っていた。 それもあの夜自分が目撃した一回だけじゃない、頻繁に。 『さっきローズが言ってたのって、お前のことなんじゃねえのか?』 そう、間違いなく南師さんの好きな相手は真子。それは私も解っている。 その先の二人の会話を混乱した自分の頭で正常に理解するなど、所詮無理な話だった。 ギシギシと床の軋む音と共に少しずつ遠退いていく気配。 その気配がなくなった頃には、すっかり全身から力が抜けてしまって。気付けばへなへなとその場に座り込んでいた。 2010.03.25 ← | → しおり |