日々執務に追われている隊長・副隊長格が、これだけ顔を揃えて酒を酌み交わせる事など普段余りない。
そんな理由もあって、お互い積もる話にも花が咲いた。





『白、おはぎ食べたいー!まわりにきなこついてるやつー!!』


『この店っておはぎあったか…?』


『いつもの事だ、ほっとけ!』



白のテンションは相変わらずで、それを簡単にあしらってしまう拳西は、さすがいつも一緒にいるだけの事はある。





『何やねん、喜助ェ!うちの酒が呑めへん言うんかァ!?』


『ひ、ひよ里サン…、ボクもう無理ッス…』



始まってからというもの、物凄いペースで流し込むひよ里は、なんだかんだ言いながらも隣に座る喜助の羽織を掴んで放さないまま、ひたすら絡み続けていた。


リサはといえば、羅武とローズを従えてお酒を注がせる始末。ほんと知らない人から見たらどっちが隊長かなんて誰も解らないだろうな。





『リサ、ちょっと呑み過ぎじゃないかい?』


『うっさい、ローズ。邪魔すんな』


『ったく、うちの女どもは…』



こうやって集まるのは久しぶりだけれど、変わらない皆を見ていると何だか嬉しくて自然と笑みがこぼれてくる。
皆を眺めながらそんな気持ちに浸っていると、くいっと横から死覇装の端を引っ張られた。





『どうしたの?』


隣にいる真子がじっとこちらを見つめていた。お酒が入っている所為なのか、自分に向けられている視線が少し色っぽくて戸惑ってしまう。





『オマエは酔うてへんのか?』


『私は、そこまで呑めないから』



ふーん、と頬杖をつきながら手にしていた猪口をぼんやりと眺めている真子。





『なァんか、アイツらの暴れっぷり見とるとカヤが可愛く見えてくんなァ』


『な、何言って…』


『ホンマやで?』



身体中の血液が一気に集中して、顔に流れ込んでいくような気がした。室内が暑いのか、自分の身体が火照っているのか、それともそれがお酒の所為なのか何が何だか解らなくなった。





『酔うたんやったら、介抱したるから俺に言いや』


『そんなのいりません。この変態』


『真面目に言うてるのに、ホンマ素直やないなァ』


『下心見え見えだし』





真子が柄にもなくそんな事言うから。すっかり意識してしまった私は、それっきり真子と会話をしていても全く落ち着かず、何を話していたのかさえほとんど記憶にない。



そして愉しかった時間はあっという間に過ぎ去り。名残惜しく感じながらもお開きとなった。






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