『…ほれ、噂をすればや』


くいっとリサの親指が示す方向を見れば。自分達がいる場所とは反対側の渡り廊下を、丁度真子が後ろに藍染を従えて歩いている所だった。





『相変わらずやる気なさそうな背中やなぁ』


『それは確かに言えてる』


『でもそこが格好ええとか思てるんやないの?』


『…』



肘で軽くこ突かれて何も言えなくなってしまった。
あー…、やっぱり私って本当に分かり易過ぎなのかも。





『真子ー!』


『リサ、何も呼ばなくても…』



リサの大声に反応して歩みを止めた真子がこちらを振り向く。



『おー、リサやんけ』



軽く右手を上げて応えると、ふと隣にいた私にその視線が向けられた気がした。たったそれだけの事なのに心臓がどうしようもなく五月蝿い。





『カヤ、オマエさっきもサボっとったくせにまた遊んどるんかい』


『私は書類届けにきたとこなの!真子こそちゃんと仕事しないと藍染さんが可哀想でしょ』



真子の隣にいる藍染さんは私達のやりとりを見ていつもと変わらない涼しい顔をして微笑んでいた。





『そないぎゃーぎゃー喚いとったら嫁の貰い手なくなるでェ』


『そんな事いちいち真子に心配してもらわなくても大丈夫だし』


『えらい自信満々やんか』


『五月蝿いっ。ぱっつん!仕事しろ!!』





あんたらのこういうとこが分かり易いんやって事、気付いとらへんのやね。見とるこっちは面白いからええけど。



『あんたらほんまに相変わらずやねぇ』



真子との口論に夢中になっているをカヤ横目にリサがにやにやと笑みを浮かべていた。






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