平凡な人生、だと思う。
これまで自分が歩んできた人生は。これと言って人に自慢出来るようなものでもない、だけど隠し立てするような後ろめたいものでもない。極々平凡なもの。



幼い頃、流魂街で暮らしていた時期は確かに色々と不自由もあったけれど。それでも死神になってからは何でもない当たり前の日常がきっといつまでも続いていくんだと、ずっとそう思い込んでいた。皆と一緒ならば在り来たりな何の変化もない毎日でも構いはしない、ずっとそう思ってきた。それ以上の欲を望んだことなどただの一度も無い。わたしは今のままで十分幸せだったのだから。















今日もいつもと変わらない長い長い一日がようやく終わりを告げようとしていたそんな矢先、それは本当に突然に起こった。
そう、わたしの願うほんのささやかな幸せをあっさりと奪い去ってしまうような惨劇が。






《緊急招集!緊急招集!各隊隊長は即時一番隊舎に集合願います!!》





耳にこびり付くようなけたたましい警鐘の音が廷内に響き渡る。これが唯事でないことは誰もが察し、息を殺してその内容の続きに耳を傾けた。
それはわたしも、そして目の前で湯呑みを片手に一息ついていた羅武も例外ではなかった。





《九番隊に異常事態!九番隊隊長、六車拳西 及び副隊長、久南白の霊圧反応消失!それにより緊急の―――》





今朝、真子の口から流魂街での変死事件の調査に拳西達が向かったという話を聞いたばかりだ。嫌な予感がした。


どくり、心臓が嫌な音をたてた。書類を握り締めていた手にも力がこもる。信じられない気持ちと突き付けられた現実との狭間で居ても立ってもいられなくなり、黙り込む羅武をすがるように見つめた。





その時のわたしはただ心配するなと、拳西達は大丈夫だと、たった一言そう言って欲しかった。自分の意志に反してどうしようもなく騒ぎ立てるこの心音を誰かに鎮めて欲しかった。











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