『あっ、やだ、しんじ…っ』



これまで懸命に押さえてきた声も呆気なく零れ。部屋に響く卑猥な水音までもが更に羞恥を呼び起こす。





『おねが…、い、やめ…っ』


『さっきの聞いてへんかったか?今更止められへん』



ぐい、と腰を持ち上げられて近付いた真子の舌が、粘膜の間をかきわけて侵入してくる。ざらついたものが触れる度に、そこから溢れ出た熱が徐々に広がっていった。





『カヤ、ちゃんと顔こっち見せえや』


『や…、むり、だってば…』



恥ずかしさのあまり両手で顔を覆ったまま必死に首を振る。
けれどわたしの拒否権なんてものはすでにそこには存在していなかった。





『止めてもええんか?』





『……え』


『ホンマはもうヤバイとこまで来てんのとちゃうか?』



こちらを見下ろし口の端を持ち上げる真子を恨めしく思った。
こっちはとっくに理性なんてものは欠片ほども残っていないというのに、なんでこんなにも平然としていられるのか。





『…真子だって、今更止める気なんてないくせに……』


『まだそんな生意気な口聞けるんか?上等や』








すぶり、何の遠慮もなく沈んだ腰と身体にかかる彼の重みを感じて。一瞬にして満たされる幸福感。



身体中の骨が軋んで音をたてているんじゃないかと思うぐらい強く抱き締められて。それに応えるように広い背中に爪を立てた。





『ん…っ、う…』


『はっ、やば…。カヤん中、めっちゃ熱い』



じっとりと汗の滲んだ身体を重ね合わせてあなたの体温を感じるだけで、ただそれだけで幸せ。
段々と速くなる真子の息遣いと耳元にかかる吐息さえもが感覚を震え上がらせた。





『あっ、や、声、こえ…出ちゃ…』


『ええやん、もっと聞かせろや』


『は、はずかし、ってば…』


『聞いてんの俺だけや、気にすんな』



そういう問題じゃない、力ない声でどう訴えようとしても通じる訳もなかった。そんなことをしても意地悪なこの男をますます調子付かせるだけで。



結局それが無駄な抵抗だと悟るのに時間はかからなかった。






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