すぐ近くに大切な人の存在を感じながら眺めた打ち上げ花火は、小さな頃に見たことがあるどんな花火よりも壮大で煌びやかで。
色々な感情が溢れてきて胸の中がいっぱいになった。






いつまでもこの人や皆と一緒にいたい、夜空を見上げながらそう願った。







『…さてと、そろそろ帰るか。明日も皆早いしな』



うっとりとするような時間はあっという間に過ぎ去り、余韻に浸り誰もがなかなか切り出さない中で第一声を発したのは羅武だった。



周囲に出来ていた人集りも散り散りになっていき、それぞれが帰宅の途につこうとしている。







『よっしゃ、帰るかァ!』


『ひよりん何でそんなに元気なのぉー?白、眠ーい…』


『もうお終いなん?ボクまだ遊びたいんやけど』


『アホかっ、ガキはもう寝る時間や!』


『猿柿副隊長かて、ボクとそう変わらへんやん』


『オマエ、何でタメ口やねん!シバくど、ギン!!』



ふざけるギンを追い掛け回すひよ里。それを見て必死に止めようとする者、楽しそうに囃し立てる者。前方を歩く皆の様子を後ろから眺めながら、そんな些細なことでさえつい顔が綻ぶ。





『まったく、アイツらの元気は底無しやな』


『仲がいい証拠でしょ。真子も混ざってきたら?』


『いや、俺はここでええわ』





真子と二人のんびり肩を並べながら、少し離れた皆の背中を追った。





瀞霊廷に入りそれぞれの自室が近付くにつれ、一人また一人と人数が減っていく。
明日もまたいつものように顔を合わせて、そしていつもと変わらない毎日が始まる。それなのに何故だか妙に寂しく思えて仕方なかった。





不意に隣を歩いていた真子が立ち止まり、それに合わせるように自分も歩みを止めた。






『どうしたの?』


『俺の部屋、ここやねん』


『そっか…』





…何でだろう。
こんなにも離れたくないって思ってる。夜が明けてしまえばすぐにまた会えるっていうのに。





『それじゃ、また明日ね』



きっと今の自分の顔は、相当情けない顔をしているに違いないから。からかわれるのが嫌で、一刻も早く真子から離れたかった。



すっかり小さくなってしまったひよ里の背中を追って駆け出したら、ぐいっと腕を捕まれて。





『どう…したの?』


『泊まってくやろ?』






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