『なに辛気臭いツラしてんねん!ハゲっ!!』


『あ痛ァッ!な、何すんねん、ひよ里!』



ギンだけでも手ェ焼いとったのに更に面倒なヤツまで来よった…。



視線の先では自分の元から連れ去られたカヤが、ギンと白に引っ張り回されている姿。





『おい、白!カヤは病み上がりなんだ、無理させんじゃねーぞ』


『もー五月蝿いなぁ、拳西ってば。解ってるって』





白達と楽しげに話しながら振り向き様に俺の方を見たカヤと一瞬だけ目が合う。


その表情とか角度とか全てが計算しつくされたみたいにええ女で。今の俺、めっちゃ間抜けなツラしとんのやろなー、そう思いながらも目が離せんかった。






『うわ、キモっ!見てみぃ、リサ。シンジがめっちゃ気色悪い顔しとんで』


『真子のあの顔は残念ながら元からや、ひよ里』


『余計なお世話やっちゅーねん…。にしても、羅武。何でここが解ったんや?』


『お前、今日ずっと執務室に篭りっきりだったろ?あの真子が熱心に仕事に励むなんざ、何かあったとしか思えねえからな』



何やねん、結局コイツらには全部お見通しやったちゅー訳かい。





『で、タイミングよく邪魔者参上って訳だ。な、ローズ?』


『そういうこと』


『別に邪魔者なんて思てへんわ』



むしろ感謝せなアカンぐらいやな。カヤが楽しそうにしとれば今はそれで充分や。アイツがあんな顔しとんの久々に見たわ。





『ホンマにそんな風に思てんのかァ?』


『おーひよ里、オマエは邪魔や。オマエだけ邪魔や』


『何やと!?』


『痛たたたたァ!髪引っ張んな言うてるやろっ!!』


『ホンマにハゲてまえっ!このハゲ虫がぁ!!』



もはや恒例となっている二人の取っ組み合いを、他の者達はまた始まったと苦笑いを浮かべながらも楽しそうに眺めていた。


そんな中、ローズが相変わらずのんびりとした口調で仲裁に入る。





『はいはい、喧嘩はそこまで。せっかくいい場所とったんだからそろそろ行くよ』


『ええ場所?何やねんそれ』


『そろそろじゃないかな、今日のメインイベント』






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