松平達の車を見送ってから土方は自室に戻ると書類整理に没頭した



ったく、何だってこんなにイライラするんだよ!?



煙草をスパスパと吸いながら書類を書いていくが、一行に減らない書類の山






がァァァァ!!!!
イラつく!!
マジイラつく!!!




ガシガシガシと髪が掻きあげると煙草を灰皿に押し付けゴロンとその場に寝転がった








あのクソガキ・・・・
城戸と仲良かったな・・・
つーかアイツはウザがってたけど・・・






部屋の天井を睨みながら先程の男の姿を思い出す

優男というのが似合う様な男だった

栗色の髪に同じ色の瞳
その優しそうな面影





あーゆーのが今モテはやされてんのか?
俺はどう見てもあの男とはタイプが全然違う
瞳孔だって何時も開き気味だし
滅多に笑わねぇ
山崎なんか俺が笑っただけで悲鳴あげるし





珍しくウジウジとそんなことを考えてると、何の前触れもなくガラッと襖が開いた



驚き目線を向けるとそこには麻裕子の姿





「・・・お前なァ・・・なんか言ってから襖開けろよ?」



『は?あ〜・・・男の子だもんね?シコシコしてるかもしんないもんね?つーかキモイな。見たくないから今度からは気を付けるよ』



「・・・・なんかとんでもない誤解してねーか?」



『仕方ないよ、男の子だもん気がきかなくてごめんね?』



「何悟ったような表情してんのォォォォ!!??違げーよ!!俺は中学生かァァァ!!」



『はいはい・・・ってあ〜も〜、今は喧嘩しに来たんじゃないのに』








そう言うと麻裕子は目の前に和菓子とお茶を出してきた






「・・・・これ・・・」





首を傾げる土方に麻裕子はズイっと和菓子を差し出す






『なんか今日シローずっとイライラしてたろ?糖分不足なんじゃない?マヨばっか食ってっから』




土方は黙ってその菓子を受け取った
そしてパクリとそれにかぶりつく






「・・・甘っ・・・」



『味わえよ?大江戸菓子店の限定10個の和菓子なんだから』



そう言うと麻裕子も土方の隣で菓子を食べ始めた




「・・・・・気に掛けてくれたのか?」




土方の言葉に和菓子をつついていた手が止まる





『心配したんじゃないからね、ただ隣で瞳孔かっ開きで殺気漂わされてるとめっさ怖いんだよ』




その言葉に土方は苦笑をすると



「ありがとうな」



といって麻裕子の頭を撫でた


フワリと指に絡まる彼女の柔らかい髪の毛

初めて触れたその感触に土方の心臓がドクンと高鳴った







なんだ?コレ?







今まで自分の心臓の音なんか気にした事が無かったのに、まるで耳元にあるみたいにその鼓動が聞こえた気がした






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