暫くそうしてお互いの考えや道などを話しているとあっと言う間に時間が過ぎて行った
改めてこうして話をして感じた事がある
確かに彼女の言動は異常で狂気じみている事が多々あるが、その中に何かがあると言う事
曲がりもしない、歪みもしない、真っ直ぐ強く鋼の様な芯が彼女の中には存在している
それはそん所そこらの武士と名乗っている輩よりもしっかりとした武士道
まぁ女で刀を持たないので武士道、と言うのは違うかもしれないが己の進む道、それがしっかりと彼女の中にはあるのだ
顔の見た目から同じぐらいの年齢で、女なのに、自分よりはるかに志の高い彼女に土方は少し身が震える思いがした
『さて、そろそろ私は寝る』
土方が感心していると、時計を見た摩由が煙草を消しながら言ってきた
時計を見れば時刻はすでに夜中の2時
結構話しこんでしまった
お陰で書類が全然進んでない
その事に「やべ」と短く呟くと諦めたように書類を纏め始めた
『じゃぁ私は奥の部屋を使わせてもらうからな』
そう言って席を立とうとする摩由に土方が「あ、」と声をかけた
それに摩由が立て膝で止まる
『どうした?』
「あ、あ〜・・・いや?」
『?そうか?』
そう言って立ち上がる摩由に土方は戸惑いの目を向けた
俺結局何もしてないじゃん!!!???
あの顔を見たい
そしてあわよくば・・・・
なんて考えていたのに普通に仕事の話などをして終わってしまった
せめて顔だけ、あの自分の心を鷲掴みにした顔だけでもみたい!!
そう思いながら奥の部屋に入っていく摩由の背中をただただ見つめた、が、それはピシャリとしめられた襖によって断ち切られてしまった
「・・・・はぁ〜・・・・」
ガシガシと頭を掻きながら奥の襖を見る
どうやら布団に入ったのだろう、布の擦れる音が小さく耳に届いた
土方は纏めた書類を机の上に置くとノソリと立ち上がり押入れから布団を出しのろりのろりと部屋の端に敷いた
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