『・・・お前は真撰組の中でも、私の考えに近い人間だろう』



キリッと顔を引き締めた土方に摩由は少し顔をニヤつかせながら聞いてきた



「・・・まぁな、賛同するところは多々ある」


『多分沖田もそうだろう、近い物を感じるがアレはまだ幼いからな・・』




そう言いながらも満足そうな顔をして煙草をふかす



『後の問題は近藤だがな・・・』



あのゴリラは・・と呟きながら口を歪ませて溜息の如く紫煙を吐きだした


確かに近藤は土方と沖田とは違う

甘いのだ

広い懐、情の深さ、寛大と言えば聞こえがいい物の、それはただの甘さでしかない



土方は摩由の言いたい事を察して「あぁ」と相づちを打った


土方本人も近藤の人への甘さには多少なりとも頭を悩ませている


伊東の時もそうだった


誰でも信じ、その懐に抱きかかえる彼
ソレが彼のいいところなのだが、それが命取りにならないとも限らない





眉間に皺を寄せながら煙草の灰を落とすとそんな彼と対照的に少しあっけらかんとした声が耳に届いた



『ま、近藤はいいか』



あまりにも軽いその言葉に土方が「は?」と口を開けた



『まぁ、近藤はアレで良い、もしも奴の甘さが中途半端な甘さならば問題だが、奴の甘さはどん底の甘さだからな』



「?」



『極端な2つの考えがあるのは悪い事じゃない、近藤のように甘い奴と、私のように非情な土方、それで均等になるだろう。アメとムチの要領だな』



プカーと少しやる気のない風な感じで言う摩由に土方は目を丸くした

そしてまた山崎の言葉を思い出した




"しっかりと俺ら一人一人を見ている事は確かだと思います"




本当に見てんだな・・・・



隊士一人ひとりを、そしてその一人ひとりが作り上げる真撰組を、彼女はしっかりと見ている

最初はそれに気が付かず、ただの偉ぶった性格悪い奴、と思っていた自分が少し恥ずかしくなった




『だが私には甘すぎる考えだからな・・・たまにあのゴリラをぶっ殺したくなるよ』



くつくつと笑いながら言う摩由に「ぜってー今本気でそう思ってる」と若干、土方が顔を青くしたのは言うまでも無い






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