「こんにちは黒子くん」
「またですか」

はい、またですよ黒子くん。
いつものように本を開いている黒子くんですが、驚くことに今日は一言目から私のほうを見てくれたんです。
これは大きな進歩だと思います。私はいまスキップでフルマラソンをいけるぐらいにテンションが上がっております。
まあこれは例えであってだれも実際にスキップフルマラソンなんてしたくありませんので誤解なさらないようお願いします!
あ、でも黒子くんが応援してくれるというなら頑張れそうな気もしますね。ぜひゴールしたら熱い抱擁を…って黒子くんの視線がグサグサと痛いのでこのお話はここまでにしておきます。
さて、今日の黒子くんとのラブラブトークですが。早速本題に入らせていただきます。

「黒子くんの好きな食べ物はなんですか?あ、もちろん私、っていうことでも大丈夫ですよ!?」
「間違いなくみょうじさんではないことは確かです」

あ、そうですか。残念です。
でも黒子くんの好きな食べ物といったらバニラシェイクですよね。食べ物というより飲み物に近いような感じですけど。
え?なんで知っているのに聞いたかって?
それは黒子くんに好きな食べ物はなまえちゃんですと言わせてみたかったからです。
まあ、初っ端から否定されてしまいましたけれど、いつかは言わせてみようと思います。
ところで黒子くんの大好きなバニラシェイクっていつも思っていたんですけど何だかえろいですよね。だって白い…白ですよ、白。
私の思考回路でいくと白イコールえろ、ってところなんですけどどう思いますか黒子くん?

「飛び降りればいいと思います」

だ、そうです。
たぶんここから、ってことなんでしょうけれど大変なことにここは一階です。顔面をめりこませろってことでしょうか。なるほど奥が深いですね。
それにしても黒子くんの好きな食べ物をバニラシェイクと決めつけてしまいましたが本当にそれでいいんですか?
他にオムライスとか豆腐とか無いんですか?
それとも黒子くんの主食はバニラシェイク、とかそういう妖精さんのようなことなんでしょうか。だとしたら私は黒子くんの可愛さに悶え殺されかねません。
ただでさえあんなに可愛いというのに。
本と私を交互に見ていた黒子くんは諦めたようにため息をついてパタンと本を閉じました。
どうやら今日はこちらの話を聞いてくれるみたいです。ああ、どうしたらいいですか、嬉しいです。

「にやつかないでください、気持ち悪いです」
「黒子くん今度一緒にマジバ行きましょうね」
「……奢ってくれるなら行きます」

う、…奢ります!ぜひ奢らせてください!
それで黒子くんの幸せそうにバニラシェイクを飲む姿を見ることができるなら安いものです。
そんなことよりいまさり気なくデートの約束をしてしまいました。聞きましたか、黒子くんとデートですよデート。
その日が今から楽しみで仕方ありません。
そういえば火神くんはよく黒子くんとマジバに行っているようですね。羨ましいです。
今度あてつけに火神くんのパンツを盗んでやろうと思います。そしてその盗んだパンツを降旗くんのロッカーに入れてしまいましょう。
それはそうと、好きな食べ物の話に戻りますけど。

「ちなみに私の好きな食べ物は言わずもがな黒子くんです」
「食べたことないくせに何を言っているんですか」
「それは遠まわしに食べろということですか!?」
「まったく全然これっぽっちもそんなつもりはありませんけど」

木っ端微塵です。さすが黒子くん、否定の仕方も徹底していますね。
まあ確かに黒子くんを食べたことはないですけど常日頃食べたいなあ美味しそうだなあって思ってるんですよ!味見だけでもさせていただきたいものです。
あ、黒子くんの視線が冷たいものになってきています。照れているんでしょうか。まったくさすが黒子くん、どんな表情をしても素敵ですね。
ますます黒子くんへのラブ度が上がったところで真面目にお話をしたいと思います。

「黒子くんの次に好きなのは納豆です」
「僕の次に納豆が来るのが不快です」
「大丈夫ですよ、黒子くんのほうがはるかに好きですから安心してください!」
「そういうことではないんですが」

黒子くんも嫉妬とかするんですね。
納豆に嫉妬する黒子くん。最強だと思います。
それとも黒子くんは納豆が嫌いなのでしょうか。
勿体無いです、あんなに美味しいのに。
あ、もしかして女の子として納豆大好き発言はまずかったですか?
それは失敗ですね、うっかり素になって言ってしまいました。でも美味しいですよね納豆…。
これからは気をつけます。
とりあえず納豆発言は撤回するべきでしょうか、ここは好感度のためにも。
うーん、難しいです。でも冗談として片付けてもっと可愛い食べ物も言うというのもありかもしれません。納豆は大好きですけど。
でも、うーん。

「まあみょうじさんが可愛い食べ物を言っても困るだけですけど」
「それはどういう意味ですか!?」
「大丈夫です褒めてます」
「まったくそんな気がしませんけど…」
「ああはい納豆いいと思いますよ、みょうじさんにしては」

何故か最後を強調されましたが珍しく黒子くんに褒められたので良しとします。
それに好きなひとにありのままの自分を認めてもらえるっていうのは嬉しいですよね!
可愛い子を演じるのは頭の良くない私には向いていないと思うので、これはこれで。
この調子でもっともっと黒子くんに私のことを知ってもらえたら、それはすごく幸せだなあと思うのです。
そしてできることなら、私ももっともっとたくさん黒子くんのことを知りたいです。黒子くんの好きな色、教科、本とか、全部!
ああ、嫌いなものだって知りたい、けれどそれはまた後で。
いまは好きなものを、知り尽くしてしまいたいと。

「…ところで、みょうじさん」
「はい!なんですか黒子くん!」
「小金井先輩達と、随分仲が良いみたいですね」

あ、分かりますか?
そうなんです、私と小金井先輩は中学が同じでそういう繋がりから仲良くさせてもらっているんです。
まあ、仲良くといってもほとんどの会話は黒子くんのことなんですけど…あ、もしかしてそのことを怒っているんですかね黒子くんは。
いつも黒子くんの可愛さについて小金井先輩に語ったり、黒子くんの部活でのお話を聞かせてもらったりしていることがバレて…?
ああ、もう小金井先輩ったら、黒子くんには内緒にしててくださいって言ったはずなのに。
でもバレてしまったのなら仕方ありませんね。
じろりと私を見つめる黒子くんに大人しく頭を下げます。

「すみません黒子くん、まさか私が授業中に眠そうに目をふせる黒子くんを盗撮したいって小金井先輩に語っていたことがバレていたとは」
「君は小金井先輩になにを言ってるんですか」
「えっ?なにって黒子くんの…おっと何でもありません」
「……はあ」

あ、ため息をつかれました。
なんだかお疲れみたいですね。最近は部活も大変そうですし、今日のところはこの辺でお別れしたほうが良いでしょうか。少し名残惜しいですけれど。
もちろん明日もお話しますよ!明日はもっと進歩があると嬉しいですね!
それでは黒子くん、お付き合いありがとうございました!部活頑張ってくださいね。

「あ、みょうじさん」
「はい!どうしました?」
「……いえ、大したことではないですけど…、今日、七時に終わりますから」
「…七時に?…えーと、なんの話で、」
「それまで待っていてください、…マジバ」
「…え、あ!ほ、ほんとですか!?」
「奢ってもらいますから。じゃあ、また」
「…っ、はい!待ってます!」

ああもう、大好きです!
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