赤いリボンが恋の証

これを押したら風邪を引く…そんなボタンがあったとして、その縁をなぞられているような予感…。

それはどうも当たったようだ。

朝早く目覚めて昨日からの身体のだるさがとれていないことに気付いた。

喉も痛いし、心無しか身体の節々が痛い気がする。

しかしわたしは、あまりにも身体がだるすぎてそのまま二度寝してしまった。

次に目覚めたのは携帯の着信音によってだった。

「…あ、名前、生きてんの?オレからのメールも返さないで、まだ寝てたのか?」

「…ん…あ、…和也…?」

「マジで寝起きなわけ?どうでもいいけどさー、オレ今ヒマなんだよね。お前ん家行っていい?
ってかもうすぐ着くんだけど」

「…んー…もう来るの…?わかった、玄関のほういく、」

電話を持ったままふらふら立ち上がる。

…この時本当に頭が働いていなかったのだろう、風邪をほぼ100%引いているのに彼氏を家に入れるなんて。

部屋を出た時、あっやばい、と頭の中で声が聞こえた。

目の前がぐるぐるして立っていられない。

携帯を落として、わたし自身も壁に手をつきながら倒れていくのが分かった。

「…!今の音なんだよ!?
…っおい名前?どうした!? おい!」

画面から聞こえる和也の声を最後に、わたしの意識は途絶えた。

---

目を開けると、誰かがわたしを覗き込んでいた。

ぼんやりとした輪郭がだんだんはっきりしてくる。

「…起きたか。気分は?」

「…あっ、和也…え?なんでわたしの部屋に」

「オレ来たら部屋の前で倒れてたんだけど」

「あー…」

そういえばそんな会話をしていたような。

身体はまだだるい。
でも、頭…というかおでこが冷たい気がする。

「…これ、貼ってくれたの?」

「…あぁ。熱出てんだろ、お前」

和也が目の前にずいっとポカリを差し出してきた。

「そういえばすごい喉乾いてた。ありがとう」

「水分はとらないとまずいだろ。名前汗すげえかいてたし…あ、服着替えさせたけど、いいよな?」

わたしの服がパジャマじゃなくなっている。

上には和也が適当に選んだであろうTシャツを着ていた。

「和也は相変わらず服のセンスがないなあ」

「カカカッ それをいうならそんな服買った名前の方がセンスやばいだろ」

起きたなら食い物持ってきてやる、といってキッチンの方へ消えていった。

そしてすぐに何かをお盆に乗せて帰ってきた。

「…お粥だ」

「何か腹に入れとけよ」

「和也って料理出来たの?」

「…オレが作れるわけねぇだろ。黒服が作ってったんだよ」

和也が目をそらす。自分の手柄じゃないのが気まずいのだろう。

自分が作ったって言えばいいのに、変なところで誠実だ。

…自尊心が高いがゆえかもしれないけど。

「食べさせてよ」

「あ?」

「あーん」

「…はぁ…」

なんだかんだ言って食べさせてくれる。

「…よし、食い終わったな。じゃあ片付けてくる。
お前はこの薬飲んで、寝てろ」

「…え、いいよ、わたしやるからそんなことしなくても」

「きつそうにしてるくせに何言ってんの?
病人は黙って言うこと聞いてな」

溜まっていた食器を洗ってくれたし、あとから確認したところ洗濯物も回っていた。

和也は結構、頼られるのが嬉しい性格なのだ。

めったに見れないけど、弱っている時にされるとますます好きになってしまうものだ。

「…寝ないと良くなんないと思うけど」

「…和也ー…そばにいてよ、寂しいよ、…あっやっぱダメ、来ないで」

「…あ?なんだよそれ」

「今更だけど、本当ゴメン。移るからきちゃだめだよ。あとはわたし何とかできるから、帰った方が」

「…ハ、恋人の看病して何が悪いわけ?
普通に今日は泊まるし、人のこと心配する暇あるならとっとと寝ろよ」

「…和也〜…すき…」

「はいはい」

和也は普通にキスしてきて、そして普通に移りました。

甘やかして面倒見てくれる和也が見れて良かったです。

でも風邪引いてつらそうにしている和也も可愛いのです。

…それから、料理を練習している和也の姿が目撃されたとか、されてないとか。




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