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許可は直ぐに降りた。
食料と人の比率が合っていないこの世の中で
「死にたい」
なんて願望が止められないはずなかった。
恋人が漂流に出されて、失うぐらいなら自分も。
もしかしたら結構いるのかもしれないな。
案内されて着いた所にちょうど人が1人2人入れる程度のカプセルのようなものがあった。
・・・居た。
俺の愛しい名前。
彼女の視線が俺に向く。
「・・・ぇ ど、独歩くん・・・?なんで・・・」
カプセルが開き、そこに吸い込まれるように入ろうとした俺を名前が止める。
「待って、なんでここに?す、すみません!この人は違います、出るのはわたし1人で、」
「名前」
大きな瞳が俺を真っ直ぐに見つめる。
「俺は、お前が居ない世界なんて意味が無いんだ」
ひゅ、と息を呑む音がした。
カプセルが閉まり、明かりが消える。
目の前の柔い身体を抱き締めて、
名前がすぐ側にいるのなら、もう何もかもどうでも良くなった。
これからはもう誰にも邪魔されない、何にも囚われない、2人だけの小さな世界だ。
「独歩くんの、ばか
生きて、ほしかったのに・・・」
「・・・俺は生きるよ、これからもずっと」
お前と一緒に。
あぁ、名前、大好きだ。
もう離さない。
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