裸足の足がじんじんする。その爪先を大きな足が撫で、思わず声が漏れてしまった。
「すけべな声出すな」
「ご、ごめんなさい…ふ、ふふ…くすぐった─」
「ん」
「あ、っ…」
笑った隙に唇を塞がれ、慌てて腕を櫂先輩の首に回すとすぐに腰を抱かれてお腹がくっついた。
「、ん…あ、」
大きな背中にしっかり指を食い込ませて離れないように抱きつく僕を、櫂先輩は組み敷いてキスを続けた。でもやっぱり狭くて、不格好な姿勢に「もう無理」と、ごろりと離れてしまう。
もう少ししたいなんて我が儘を言ったら困らせてしまう。でもしたい。悶々と仰向けになった横顔を見つめると、灰色がかった目がちらりと僕を見た。僕の声より櫂先輩の視線の方がえっちだ。ずるい。
「ベッド行く?」
「櫂先輩の部屋、寒くなってませんか」
「つけっぱなし」
「えっ、」
「付けたり切ったりよりつけっぱなしの方が電気代かからない」という理論を夏休みに聞いたけれど、それは暖房にも言えることなのか…結論はでないまま曖昧に処理して頷くと、のそのそと起き上がった先輩に、残りのココアを飲むよう促された。飲みながら、昨夜はしていないということを思い出して顔が熱くなる。
したくなって、キスしながら布団に入ったのにぽかぽかしてきたら一気に眠くなってしまい、そのまま寝てしまったのだ。櫂先輩は何も言わなかったけど、正直起きたときからむずむずしていた僕としては嬉しい。ココアを飲み干してから二人で櫂先輩の部屋にあがり、すぐにベッドに雪崩れ込んだ。
「んっ、ん…あ、ぅ、んん」
「つぐみ、ちょっと、もうちょい上いけ」
「、ん…うう、」
「はい、オッケ、」
「あっ、櫂先輩、まだ、キス…」
「はいはい」
ちゅう、と軽く吸い付いて舌先で櫂先輩の唇をわる。薄い唇は、それでもしっとり温かくて、もう一度しっかり唇を重ねた。気持ち良い。ごそごそと僕のセーターに入り込んできた手もいつもより温かい。
胸までたくしあげられた服を自分の手で押さえ、手を掛けられたズボンを脱がされるために腰をあげる。リビングよりは寒いけれど充分に快適な温度だ。
「ん、」
「つぐみ、パンツは」
「え、あっ」
「昨夜からずっとノーパンかよ」
「うわあ、忘れてました…お泊まり、急遽だったから…替え、無くて」
「あれ、出さなかったか?」
「な、かった…と思います」
「…悪い」
「あ、謝らないで下さい、パンツなくても平気ですから」
「いやそれはそれでだめだろ」
そんな会話をしながらも、もう下半身はあられもないことになっている。ズボンを足から抜かれてしまえば全て露になり、勃っているのが自分で見えてしまった。
慌てて視線を逸らして櫂先輩の服をぐいぐい引っ張るけれど 「寒いから」と、脱いでくれなかった。僕だけが下半身をさらけ出して情けなく喘ぐ間、先輩は楽しそうに僕を見下ろしていて。あ、これは、昨夜の事ちょっと根に持ってるな、と感じた。
「あ、ぁ、んっんん…か、だめ、も、で…ます」
「まだ」
「うう、なん…なんで、や、いか、せてくださ…あっ、あ…」
「がまん」
「やっ、やだ…やあ、かいせんぱ、んぅ、いっいっうぅ…」
勝手にイかないよう根本を掴まれたまましっかりほぐされた後ろに挿入され、イききれないで声ばかりが漏れていく。自分の声じゃないみたいで、あんあん煩いなあと他人事のように感じる。
「や、や、ん、いっ」
「痛い、?」
「い、た…くな、痛く、ない、から…も、離して、あっあっ、ふうぅ…う、ぇ」
「泣く、なって」
「だっ、だって、かいせんぱいが、意地悪、する…からあ…!」
「分かったから、ん、離すぞ」
「ん、ん、」
「っ、」
「っ!あ、あっ…んぅ!っ、か…待って、まだ、イッ、て……かい、待って、くださ、まだ、イって、ます、から…」
「俺まだイって、ないから」
「っ、ああ、ん、ま、また、も、変、へんだから、も、待って、」
自分の出したものでべしょべしょになったお腹が櫂先輩のお腹と擦れる。ガンガンと奥を疲れ、達したばかりの体は自分の意思とは裏腹にまたすぐ射精をしたいとたかぶっている。いや、意思、なんてないかもしれない。頭が真っ白になるくらい気持ちよくて、その快楽を櫂先輩にコントロールされているから…もうよく分からない。
「うっ、ぅん、ん…っ、んぁ」
「つぐみ、」
「あ…ん、きも、ち…?」
「ああ」
「へ、へへ…あ、だ…め、イ…」
「中でイく?」
「わ、わかんな…わかんない、あっ、イッ、ふうぅ、」
中がぎゅう、と苦しくなって、痙攣した。しっかり開いて握られた膝ががくがくと震えている。呼吸も苦しくて、ぜえぜえと音がする。その胸を櫂先輩が撫でてくれる感覚にさえ気持ちよくなってしまって泣きたくなった。
「か、櫂先輩の、いじわる…」
「先に意地悪したのどっちだよ」
「ああ〜、やっぱり根に持ってる!」
コンドームをつけた櫂先輩がずるりと中から出ていき、ぽっかり広がってしまったそこが一気に寂しくなった。自分でもひくりとしたのが分かるくらいに。
「櫂先輩…」
「なに」
「…も、…かい」
「なに?」
「、もう一回!してください!」
「ほんとそういうとこ男前だよな…」
「男なので!」
体が温まったのか、今度はちゃんと服を脱いでくれた。肌と肌が重なるのは、やっぱり気持ちよくてそのあと何回したのかは、よく覚えていない。
夕方、雪がやんでいるうちに、と送ってもらうために外に出ると僕が作った二つの雪だるまは帽子を被ったみたいに雪が積もっていた。それを見て櫂先輩が「もう一泊してくか」と、寒さに腕を抱きながら言うから、僕は喜んで頷いた。
「天使とこたつ」
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