(おまけ)
“おはよう、ケーキとプレゼントありがとう。大事に使います。遥の分のケーキは冷蔵庫に残してあるので食べてね。仕事いってきます”
サンタクロースがきた。
枕元にプレゼントが置いてあったのだ。飛び起きてそれを抱き締めてリビングにいくと、りんが貼り付けたウォールツリーの一部にクリスマスカードが目立つように貼られていた。その足元には昨日まで使われていたスリッパが揃えて置いてあり、“ありがとう、お疲れさまでした”ととても丁寧な字でメモが貼られていた。
プレゼントを抱いたまま今度は玄関に駆けていくと、りんちゃんに贈ったルームシューズがそれもまたきちんと揃えてそこに置いてあった。胸が温かい。嬉しい。
そこでようやく彼からのプレゼントを開けた。中には前から欲しいと言っていた電動歯ブラシが入っていて、うきうきしながら今度は冷蔵庫を開ける。そこには昨日自分で選んで買ってきたケーキが箱から出され、お皿に上手にラップをかけて置いてあった。
「あっ!」
大きめの白いお皿の真ん中にケーキ。そしてケーキを縁取るようにチョコペンで“メリークリスマス”と書かれている。りんちゃんはチョコレートケーキを食べたんだなと、寝る前に確認したのは確かで、お皿にもフルーツタルトが乗っている。けれど、チョコレートにしか乗っていなかったサンタクロースのオブジェがケーキの横に置いてあり、その手に小さな伏せんで“ワイン買って帰ります”と、メッセージが貼られていた。
俺は一人キッチンで「やられたー!」と尻餅をついて笑ってしまった。
りんが仕事中でなければ電話していたと思う。でも今は出来ないから、と一枚写真を撮って「ワイン楽しみにしてます」とメッセージを送った。
来年のクリスマスは何をしようか。今から楽しみで、冬が待ち遠しいなんて。可愛い恋人に教えてあげたらどんな顔をしてくれるだろう。送ったメールにどんな表情をしたのか、まだ知りたいことも話したいこともたくさんある。季節が巡るのが、その中にりんが居てくれるのが、今はとても愛しくて尊い。