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「あ、あの!」

「、あ…サッカー部の」

「昨日は、すみませんでした」

「え?ああ、大丈夫大丈夫」

翌日の昼休み、昨日俺の上に落ちてきた女子と、孝成さんと恐らく親しいはずのサッカー部の先輩が教室にやって来た。わざわざ謝罪をしに。
大した怪我はしていないと、孝成さんから聞いていないのだろうか。謝りにこられるほどではないし、むしろこっちが申し訳ないくらいだ。

「俺は全然平気だから…あ、あの、先輩、も…わざわざすみません」

「いや、大事件だろ。本当は朝イチで謝りに来ようと思ってたくらい」

「とんでもないです、無傷に等しいですから」

「水城に謝りに行くって言ったけど止められなかったぞ」

「えっ、すみません」

初めてまともに喋った…いつも挨拶くらいしかしないから…先輩はとにかく怪我させて悪かったとマネージャーと頭を下げた。

「ほんとに、やめて下さい、擦りむいただけなんで恥ずかしいです」

「ごめんなさい…」

「いや、本当に…マネージャーこそ、怪我しなくて良かった」

ね、ほら、と強引に頭をあげてもらい、二人の背中を見送ると横から加藤が「うわ、サッカー部の部長じゃん」と舌を出した。

「なに、葉月なんかしたの?」

「逆」

「はあ?あ、あの子?巻き添え食らって転んだって子。サッカーのマネージャーじゃん」

「そう、わざわざ部長と謝りに来るって…」

「大事になってんな」

「恥ずかしいわ」

「ふはっ、ほんと、たかがこんな擦りむき一つでな」

「加藤に言われるとムカつく」

「はあー?俺だって心配したっつーの。怪我したから帰るとか言われたらびびるだろ。今週末決勝リーグなのに」

すぐそこに迫った予選決勝。
そうか、そういう大事な試合がすぐそこに控えているから…

「俺頼られてんの」

「うるせーよ!俺じゃなくて部全体に迷惑かかるだろって話!」

「はいはい気を付けるって。てか、サッカー部の人知り合いだったか?」

「んー?いや、なんとなく個人的にいかすかないなって思ってるだけ」

「はあ?なんで」

「いやほらだって、葉月だってそうだろ?あの人部長と距離近いし」

「あー、まあ…確かに」

「誰にでもそうなんかな…今もマネージャーと近かったじゃん。ていうか触ってたじゃん、背中とか頭とか。なんかああいう誠実ですって顔して中身チャラいの好きじゃないだけ。俺が」

「ふーん、意外」

基本的にあっけらかんとしている加藤がそういうことを言うのは珍しい。




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