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「だから、なんで葉月がそんな顔するんだって」

「するだろ、普通」

「俺しばらく暇だし、葉月の応援また来るから」

「……」

「ちょっと嫉妬はするけどな〜。今が一番楽しそうで」

「透、」

「ほら、迎え来た」

「…加藤」

「戻ってやれよ。葉月の今のチームメイトは俺じゃないんだから、いつまでもそんな顔してんな」

透の手が俺の肩を叩いた。
背丈は孝成さんと同じくらい。けれど手は孝成さんより大きい。押された体が一歩後退する。それと同時に加藤が「戻ろうぜ」と声をかけて軽く手をあげた。

「あ、あと」

「、なに」

「香月にもよろしく言っといて」

「いや、自分で言えよ。じゃあ、またな」

「おー、応援してるぞ〜」

「ん、」

その日の試合は全勝だった。
決勝リーグは後日。

学校に戻るとすぐに一年生が片付けを済ませ、俺たちも解散になった。加藤たちと自転車を取りに行き、校門に戻ると孝成さんの姿はなく慌てて校門の外を見たけれど背中は見えなかった。

「部長なら部室行きましたよ」

「え?」

「部室に片付けるもの持ってこうと思ったら、俺行くから良いよって」

深丘の指差した部室棟を振り返ると、薄く暗くなり出した景色の中ぼんやりとバスケ部の部室に電気が灯っているのが見てとれた。

「藤代先輩が待ってるなら一緒に待ってようかな」

「おっ、だって葉月。良かったじゃん、仲間が出来て」

「うるさい。俺迎えに行ってくるから先帰っていいよ」

「部長も一人になりたいときとかあるんじゃないの」

「……」

「冗談冗談。じゃー、深丘、俺と帰ろう」

「えっ」

「えっ、何その反応。嫌なの?」

「あ、いえ」

「じゃあいいじゃん。はい、帰るぞ〜。葉月、また明日」

「ああ、じゃあ」

「すいません、お先失礼します」

「お疲れ。加藤とおしゃべりしてやってな」

「俺のおもりかよ!」

ケラケラと笑いながらじゃあなと、改めて手をあげた加藤に手を振り返し、自転車を引いて部室へ向かう。




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