05


三日間、孝成さんの宣言通り俺たちは二人きり、部屋で過ごした。セックスして、眠ってご飯を食べてセックスして、シャワーを浴びて。

「孝成さん」

「……」

「孝成さん?」

「ん?」

「意識飛んでました…?」

「んー…、さすがに疲れたかな」

「ごめんなさい…あ、水、飲みますか」

「ありがとう」

昼も夜もなく、カーテンを閉めきって。
布団に裸で横たわり、大きく動く綺麗に締まった胸からお腹を見下ろすと、お互いの汗と精液でベタベタになっていた。

「すみません、俺…」

「葉月の体力は分かってるから大丈夫」

よいしょと起き上がった彼の背中を支え、水の入ったペットボトルを渡す。体力も確かにあるけれど、どちらかというと興奮しすぎて夢中だっと言うか…だから今一気に疲れを感じている。間違いなく。

「あー、溢れてますよ」

口の端から溢れた水は孝成さんのシャープな顎をつたい、お腹に垂れて精液と混ざった。慌てて口元を拭った俺を見つめた孝成さんは、「ごめん」と言いながら一瞬視線を泳がせた。

「孝成さん?」

「ん、」

「どうかしました?」

「なんでもない」

「孝成さんが目逸らすの、滅多にないじゃないですか」

「……葉月」

「はい」

「最後に一つ、俺のやりたいことも聞いてくれる?」

「え?あ、もちろんです、けど…」

「じゃあシャワー浴びてくるから、ちょっと待ってて」

「え、孝成さ、」

「葉月も服、着といて」

“最後に”その一言が胸に引っ掛かり、孝成さんがバスルームから出てくるまで俺は動けなかった。最後に一つ、か…今日眠ったら、もう明日は空港に行かなければならない。
俺はこの三日間で一生分くらいまとめてセックスをした気分で、これ以上はもう何も出そうにない。そんな俺を外に連れ出した孝成さんは、俺にバスケットボールを持たせて近くの公園で足を止めた。意識を飛ばすほどで身体も辛いはずなのに、軽い足取りで進む孝成さんの方がよっぽど体力オバケじゃないかと、一人笑いそうになった。




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