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日本に着くと父親が迎えに来てくれ、そのまま一度大学に顔を出してから実家に帰った。残り少なく、はないものの課題のことを考えたら早く手をつけた方がいいなと気持ちは急いていて、実家には二日ほどしか滞在しなかった。
そうしてやっと戻ったアパート、孝成さんは不在で俺はシャワーを浴びてから久しぶりの布団に横になった。たった二週間、されど二週間、だ。孝成さんの匂いが僅かに感じられる布団で目を閉じるとあっという間に睡魔に襲われた。

実家ではよく寝れたと思ったし、久しぶりに透にも会った。大学も実家から通ってはいなかったけれど、同じタイミングで地元に居たのだ。香月はすっかり透のことを諦めたように振る舞っていて、でも、本当はしんどいんだろうなと、双子だからかなんなのか俺には所々そう見えた。
なるほど、香月から見た俺もこうして隠していることが分かっているのだろう。

布団に横になって開いた携帯で、正午をまわったのを確認した。それからうたた寝をして、目が覚めたのは四時を過ぎてからだった。

「ん、」

「っ、た…か」

寝過ぎた、と気づく前に隣で丸くなって眠る孝成さんを見つけ、反射的にその体を抱き締めた。起こしてしまう、とすぐに力を緩めたのも束の間、艶やかな睫毛が揺れて黒い瞳が俺を見た。

「おかえり」

「た、だいま…」

「俺もいつの間にか昼寝してた…何時だろ…」

「……」

「うわ、四時…課題やらないと」

「孝成さん、」

「ん?」

Tシャツ姿の孝成さんは、さすがに変な着方はしていなかったけれどスマホを顔の下敷きにしていまのか、シャープな頬にうっすら痕がついている。




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